※写真はイメージ(gettyimages)
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 地毛証明書の提出や黒染め強制、下着は白に限るなど、子どもの身体的な特徴やプライバシーに関わることまで細かく規定する学校の「ブラック校則」。それを変えようと動いたある教育長は思わぬ壁にぶつかっていた。不登校新聞の編集長・石井志昂さんがレポートする。

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 5月の連休中、全国の中学生約2千人にアンケート調査を行いました(実施主体・NHK、協力・LINE)。そのうち「あなたの学校でおかしいと感じる校則やルールを教えてください」という質問では、中学校の細かすぎる校則があらためて浮き彫りになりました。

 多くの中学生が「おかしい」と声を上げたのは、スマホの持込禁止、染髪禁止、化粧禁止、日焼け止め禁止、炭酸飲料の持込禁止などなど。なかには「靴は中敷きも含めてすべて白」(中1男子)、「キーホルダーは生徒手帳の大きさまで」(中2男子)、「長いタオルは持ちこみ禁止」(中3女子)といった理解に苦しむルールも散見されました。

 回答を読んでいると懐かしさと禁止物の多さに笑ってしまうのですが、笑えないルールも多々ありました。

「学校でおかしいと思うのはアイプチをしてはいけないこと。一重がコンプレックスなのでほんとにやです」(中2女子)

「台風で休校になっても半強制的に部活動をさせられる」(中3男子)

「家に帰ってから午後4時までは外に出ず家にいなければいけない『4時禁』というルールは、私は嫌です」(中1女子)

「パンツは白色だけはおかしい」(中1男子)

 自由記述欄には「下着の色を決めるとか変態かよ」(中1女子)、「なぜ学校がここまでの権限を持っているのかわからない」(中2男子)といった不満も書かれていました。

 日本財団は5月7日から「ブラック校則」やその他の理由で学校へ行きたくない子どもの声を拾おうと「『#学校ムリかも』Twitterキャンペーン」を始めています。当事者の声から、現在の問題点を洗い出し、解決策を見出そうとするのが狙いです。

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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