浴衣姿で熾烈な戦いを繰り広げる参加者たち
浴衣姿で熾烈な戦いを繰り広げる参加者たち
顔面に枕を浴びる参加者も…
顔面に枕を浴びる参加者も…

 観光客誘致は地方共通の課題であり、永遠のテーマだ。各自治体は独自の食や文化を引っ提げて魅力をアピールする。そのなかで、学生時代の修学旅行をほうふつさせる「まくら投げ」を競技化して、旅行客の誘致に結び付けようとしているのが、静岡県伊東市と同市観光協会が主催する「全日本まくら投げ大会」だ。なかには大会常連のヘビーユーザーもいるという。はたして、枕投げの魅力とは―。

【顔面に枕を浴びる参加者も…】

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 5月25日に開かれた同大会(静岡県伊東市)には、9~75歳の130人、全16チームが参加した。初出場の真下美紀さん(54)は、22歳の娘と学生時代の同級生、75歳の恩師らとともに、3世代9人で、神奈川県からやってきた。

「初めてでしたが面白いですね。いい運動になりました。この後は近くの旅館に泊まって海の幸をいただく予定です」と満足げだ。

 大阪府の会社員、石川晃教さん(29)率いるチーム「マックスファクター」は4回目の出場だ。石川さんがフェイスブックを通して20代を中心にチーム結成を呼び掛けた。年に一度の大会のために、体育館で毎月練習を重ねているという。

「人の配置や枕の投げ方ひとつとっても、さまざまな戦略性がある。この面白さをぜひ普及させてほしいですね」(石川さん)

 チーム「らくまっくす」のリーダーで会社経営の高山道亘さん(31)もフェイスブックや共通の知人などを介してメンバーを集めたという。「まだ優勝したことはありませんが、なんとか続けたい。欠員が出てもメンバーを集めなおして参加しつづけています」と夢中だ。

 伊東市の「まくら投げ」は1チーム選手5人(うち大将1人、リベロ1人)とサポート3人の計8人で行う。リベロは掛け布団を持ち、相手の攻撃を妨害するのが役割だ。サポートは、場外に出た枕を自陣のコート上に戻し、味方の攻撃をアシストする。プレーヤーは、主審の「始め!」の合図とともに、布団から一斉に起き上がり、4.5メートル×7.2メートルのたたみ20畳の上で枕を投げあう。投げられた枕が地面でバウンドする前に当たった場合はアウトとなり、すぐに布団で眠らなければならない。キャッチしてもアウトだ。大将がアウトになれば即試合終了、1セット2分間の3本勝負で、時間内に両チームの大将が残っている場合は、プレーヤーの人数で勝敗が決まる。

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もはや「イベントというよりもスポーツ」