千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
※写真はイメージです(写真/getty images)
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 インターネット上の発達障害のチェックシートをやってみて、当てはまってしまったら……。やっぱりそうだったのか、と思う方もいるかもしれません。しかし、千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師は「自分が該当すると思い込んでしまうケースも起こってしまっている可能性がある」と指摘します。大石医師が発達障害の評価と診断について、相談に答えます。

【20代女性Aさんからの相談】前から仕事でもプライベートでもみんなと同じようにできなくて悩んでたんですけど、発達障害のネット記事を読んでから自分もそうじゃないかと思うようになりました。最近ネットで発達障害か調べる質問シートみたいなのをやってみたらやっぱりほとんど当てはまってて……。ショックでしたけど、今までうまくできなかった理由がわかって腑に落ちた気もします。これから仕事を続けていく自信もないので、上司に相談しようと思うのですが、どのように話せばよいですか。

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「もしかして」と思っていると、不安になっていろんな情報を集めてしまうものだと思います。「自分がどういう状態か知りたいけど、受診する時間もないし、精神科を受診するのは何か怖い」。そんなとき、インターネット上に発達障害のチェックシートのようなものがあったら……。きっとやってみてしまいますよね。私もしてしまうと思います。今回ご相談いただいたAさんは、まさにそういう状態ではないでしょうか。

 しかし、インターネットから得る情報を利用するには注意も必要です。「そんなこと、今さら言われなくてもわかってるよ」と言われてしまいそうですが、ご自身で診断してしまっている(かもしれない)Aさんのご相談を読んで改めて取り上げたいと思いました。今回は、ご相談にお答えするなかで、発達障害の評価と診断について少しお話できればと思います。

 最近、メディアなどでもよく取り上げられるようになった発達障害。ネット上のニュースサイトやテレビを見ていても、連日のように目や耳にするようになりました。インターネットで少し検索するだけで、医療機関が発信しているQ&Aや著名な先生の解説が公開されていて大変勉強になります。

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大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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