ハワイ以外の現地の人にとっては「ただ暑さが増すだけ」の日であり、珍しくもない1日にすぎないのだ。しかしハワイでは、この「影なし現象」に名前までつけ、出現日も毎年公表されている。

 ちなみに2019年の「ラハイナ・ヌーン」は、

 リフエ(カウアイ島)…5月31日12時35分、7月11日12時43分
 ハレイワ(オアフ島)…5月28日12時30分、7月14日12時38分
 カネオヘ(オアフ島)…5月27日12時28分、7月16日12時37分
 ホノルル(オアフ島)…5月27日12時29分、7月16日12時38分
 カウナカカイ(モロカイ島)…5月26日12時25分、7月17日12時34分
 ラナイシティ(ラナイ島)…5月24日12時25分、7月19日12時34分
 ラハイナ(マウイ島)…5月24日12時24分、7月19日12時33分
 カフルイ(マウイ島)…5月24日12時23分、7月19日12時32分
 ハナ(マウイ島)…5月23日12時21分、7月19日12時30分
 ヒロ(ハワイ島)…5月18日12時17分、7月24日12時27分
 カイルアコナ(ハワイ島)…5月18日12時20分、7月24日12時31分
 サウスポイント(ハワイ島)…5月15日12時19分、7月28日12時29分

 とビショップ・ミュージアムから発表されている。

●ハワイにだけ残る信仰

「ラハイナ・ヌーン」とは、ビショップ・ミュージアムが1990年に行ったこの現象に対する「命名コンテスト」から選考した名前だ。ビショップ・ミュージアムは、ハワイ最大の博物館で、特にポリネシアン文化に関するコレクションが充実していることで知られている。以降、ハワイではこの「影なし現象」がひとつの観光資源となっている。だが、古くからハワイアンの中では、この日のことをkau ka la i ka lolo(カウ カ ラ イ カ ロロ/太陽が頭の真上を通過する)と呼び、“影が体の中に後退した時神秘的な瞬間が訪れる”と信じられてきた。これはハワイの神さまが、午前と午後で交代するという神話とも関係しているのだろう。

「影なし現象」がハワイだけでひときわ大事にされてきたのも、このような伝統を今も生活の中に取り入れているからに違いない。

 この夏、ハワイへ旅する予定があるのなら、「ラハイナ・ヌーン」をぜひお見逃しなく。大いなるパワーが宿る瞬間を体験できるかもしれない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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鈴子

鈴子

昭和生まれのライター&編集者。神社仏閣とパワースポットに関するブログ「東京のパワースポットを歩く」(https://tokyopowerspot.com/blog/)が好評。著書に「怨霊退散! TOKYO最強パワースポットを歩く!東東京編/西東京編」(ファミマ・ドット・コム)、「開運ご利益東京・下町散歩 」(Gakken Mook)、「山手線と総武線で「金運」さんぽ!! 」「大江戸線で『縁結び』さんぽ!!」(いずれも新翠舎電子書籍)など。得意ジャンルはほかに欧米を中心とした海外テレビドラマ。ハワイ好き

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