では投打の通算成績はどのくらい必要になるか。こればかりは二刀流で殿堂入りした前例がないので確かなことは言えない。あえて参考になりそうな例を探すとすれば、先発とリリーフの両方をこなした殿堂入り投手だろうか。

 アスレチックスなどで活躍して2004年に殿堂入りしたデニス・エカーズリーは、197勝171敗390セーブをマークし、1992年にはサイ・ヤング賞とリーグMVPをダブル受賞した。ブレーブスで長くプレーしたジョン・スモルツは213勝155敗154セーブを挙げ、サイ・ヤング賞は1回選出。2015年に殿堂入りしている。この2人を例とするならば、投手としては200勝がひとつの目安と言えるかもしれない。打者としては前述のマルティネスを参考として通算2000安打と300本塁打といったところか。

 二刀流・中6日の先発ローテーションということを加味すると、1シーズンの出場機会は投手として先発25試合、打者としては130~140試合といったところだろうか。メジャーリーガー大谷の投手としてのサンプルはまだまだ少ないが、2018年に10試合に先発して4勝2敗、防御率3.31、51回2/3を投げて63奪三振という結果を踏まえると、ざっくり計算して25試合の先発ならば12勝6敗、160奪三振。つまり200勝に到達するためには投手として復帰する来季から17年かかることになる。大谷は来年で25歳なので、42歳となる2036年まで年間12勝ペースを維持しなくてはならない。勝利数はチーム事情にも左右されるので、これはなかなか厳しいかもしれない。

 では打者としてはどうか。1年目は104試合で93安打、22本塁打だったので、135試合に出場したとしておおよそ120安打、28本塁打となる。2000安打までは16~17年、300本塁打ならば11年ほどで到達と、投手よりはいくらか現実味は増している。

 もっとも、あくまでこれは机上の計算だ。すでに3000安打、600本塁打をクリアして将来の殿堂入りが確実視されている同僚のアルバート・プホルスでも30代半ばあたりから衰えが見え始め、成績は下降していった。投手では今年に殿堂入りが決まったマイク・ムシーナ(元ヤンキースほか)は現役最終年に39歳で20勝したが、同じく今年に殿堂入りのロイ・ハラデー(元ブルージェイズほか)は36歳での4勝がラストイヤーだった。

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20代での成績が非常に重要か