致死率ほぼ100%の”狂犬病” 海外渡航前に気をつけるべきこととは?

連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」

山本佳奈dot.#病気
※写真はイメージです(写真/getty images)
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「海外旅行先でサルにかまれてしまいました」「ネコにかまれて、現地で1回ワクチンを接種して帰国しました」
 
 このように、大型連休明けの勤務先のクリニックでは連休中の旅行先で動物にかまれてしまったというケースが、多く見受けられました。

 5月11日、フィリピンを旅行中に犬と接触した24歳のノルウェー人女性が、帰国後「狂犬病」を発症した後、死亡したとのニュースが全世界を駆け巡りました。海外へ渡航する前の狂犬病ワクチンの接種の必要性を実感していた直後のことでした。

 死亡した女性は、2月に友人と共にフィリピンを訪問中にやせ細った子犬を路上で発見。彼女はその子犬を宿泊先のホテルに連れて帰り、ケアをしたところ次第に回復し、ホテルにいた他の犬とも元気に遊ぶようになったのですが、彼女もその際、指をかまれてしまったといいます。狂犬病の予防ワクチンを接種していなかったにもかかわらず、かまれた後も狂犬病に対して未治療のまま帰国し、その後体調を崩して死亡に至ってしまったというのです。

「狂犬病」は「イヌ」にだけかまれると感染すると思っていませんか。「イヌが感染しないようにワクチン接種している病気じゃないの?」と思っていませんか。実は、感染源となる狂犬病ウイルスは全ての哺乳動物に感染する可能性があります。私たちが狂犬病に感染して発症すれば、ほぼ100%死亡する、極めて恐ろしい感染症なのです。

 そこで、今回は「狂犬病」についてお話ししたいと思います。狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物にかまれたり、傷口や粘膜をなめられることで唾液が体内に入り、その唾液に含まれるウイルスが侵入してくることで感染します。日本やスウェーデン、アイスランドやアイルランド、ニュージーランドやグアム、ハワイ諸島などの一部の国を除いて、世界150カ国以上の国と地域で発生していることが報告されており、海外ではほとんどの国で感染する可能性がある病気です。
 
 日本は、世界でも数少ない狂犬病清浄国。1957 年以降、国内で狂犬病は発生していません。ネパールで犬にかまれ帰国後に発症した事例が70年に、フィリピンで犬にかまれ帰国後に発症した事例が2件あったのみです。イヌへのワクチン接種の義務化やわが国が島国であることがその要因として考えられています。

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