と同時に「どれだけピッチャーが好きなんだ」という声も飛んだ。紺野はそれまでにも広島の野村祐輔や横浜の三嶋一輝との交際が報じられていたからだ。女子アナ時代に担当した「ネオスポーツ」で投手フェチになったのか……というのはさておき、未完の大器である夫について、周囲には「立派に育ててみせる」と宣言したともいう。

 だとしたら、彼女もまた「おかんな女」タイプなのだろう。夫の仕事が不安定でも、そこを支えながら子供も産み、家庭を守る。野球選手のようなアスリートがそういうタイプを妻に選びがちなのは、容易に納得できるところだ。彼女の生き方は、つんく♂が礎を築いたハロプロらしさを体現したものでもある。

 そして、紺野らの選択はハロプロ自体の生き残りにも寄与している。先輩たちがけっこう早めに結婚・出産という次のステージに進むことで、新陳代謝がうながされるのだ。ママドル量産で別の話題を提供しつつ、後輩たちは若さを武器に現役感のあるアイドルに専念という流れがうまくできている。ともすれば、功労者たちが次の展開に行けず、人材が渋滞してきた感もあるAKB系にはない強みだろう。

 ただ今回、川栄李奈はハロプロ系みたいな決断をした。じつはこの人も役柄やトークを見聞きする限り、けっこう「おかんな女」タイプに思える。だからこそ、仕事が絶好調でも、あえて早期の結婚と出産を選んだのだろう。相手は役者としてやや格下に見えるが、それこそ自分が立派に育ててみせるくらいの気持ちかもしれない。

 なお、紺野の選択には里田をはじめとするハロプロ系の先輩からの影響も推察できる。同様に、川栄の選択も今後のAKB・坂道系の後輩たちに影響をもたらすのではないか。ハロプロ系のように、こちらも結婚・出産ラッシュが訪れるのか。少子化日本の将来を考えるうえでも、気になるところだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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