そこには、それぞれのプロデューサーの性格も反映されているのだろう。秋元康がAKB系に書く詞がわりと思春期限定みたいなところがあるのに対し、ハロプロ系の詞を長年手がけたつんく♂はそこに家族愛のようなものまで持ち込んでいた。失恋した田舎娘が離れて住む母を恋しがる「ふるさと」だったり、大切な人を紹介しつつ両親への感謝を伝える「ハッピーサマーウェディング」だったり。「ザ☆ピ~ス!」では、選挙の投票後に家族で外食する習慣の話が盛り込まれた。

 私生活では秋元が1女の父なのに対し、つんく♂は3児(男女の双子と娘)の父。後者のほうが子沢山なだけでなく、独身時代からこんなことを口にしていた。 

「子供が好きなんですよ。(略)やっぱ自分にないものをいっぱい持ってるから。それがもし自分の子供だったら もう、すごいじゃないですか、未来が。いっぱい欲しいと思ってるのが、なんか男としての宿命かなって思ってる」

 つんく♂にとって子作りは、未来的かつ宿命的なことなのだ。また「いろいろな女性との子供が欲しい」と冗談めかして語ったこともある。「LOVEマシーン」の翌年に出版された著書『LOVE論 あなたのいいトコ探します』のあとがきでも、「ここまで読んでくれた人は、俺がどんなに女好きで、女の子のことばかり考えてるか、もう十分に分かってもらえただろう」

 と、書いていた。つまり、恋愛から結婚、子作りというものが一直線につながるタイプなのである。それゆえ彼は、同書においても魅力的なタイプとして「おかんな女」を挙げ、こう語る。

「男がおかんに甘えたいっていう欲求を一生捨てられないのは、もう本能に近いものだからしょうがない」

 そして「オバはんタイプ」との違いについてこんな指摘を。

「その点、おかんは『子供のために』とか『アナタのために』っていうような、誰かのために何かをしてあげてる感じ、ほかの人のことを考えてる感じが漂うものだ」

 とまあ、そういう感覚のプロデューサーがいて、詞を書き、また「芸能界のお兄さん(お父さん)」的存在として接していたのだから、十代から二十代前半にかけての女の子たちが影響を受けないはずがない。

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草分けはいうまでもなく、里田まい