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モノクロ写真で重要な「暗室」 暗い空間で写真を考える

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撮影:阿部 淳■ニコンFE・Aiニッコール35ミリF2.8S・トライX

撮影:阿部 淳■ニコンFE・Aiニッコール35ミリF2.8S・トライX

阿部 淳(あべ・じゅん)
1955年、大阪府生まれ。81年、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校 大阪)卒。VACUUM PRESS 出版運営。写真集に『CREATURES』『大阪』『市民』『黒白ノート』『マニラ』『プサン』『1981 コウベ』など多数。

阿部 淳(あべ・じゅん) 1955年、大阪府生まれ。81年、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校 大阪)卒。VACUUM PRESS 出版運営。写真集に『CREATURES』『大阪』『市民』『黒白ノート』『マニラ』『プサン』『1981 コウベ』など多数。

 暗室作業は大変ですけれど、自分の中の何かを発見できるみたいな、シチュエーションがあるんですよ。あの暗い中で像が浮かび上がり、水が流れる音が聞こえる。自分の意識の状態がすごく変わる。潜在意識が活性化する。明るい中で画像を見ているのとはまったく違う。

【暗室の重要性を語る阿部淳さん】

 瞑想するような暗い空間の中で一枚のカットに長い時間をかけてつき合うと、細部をしっかりと見るだけでなく、写真についてものすごく考えるんですよ。

 例えば、一つのテーマで何カ月も焼いていると、自分が何をやりたいのか、だんだんと明確になってくる。写真の選びに厚みとか深みが出るし、熟成みたいなことが起きるんです。だから、その時間は自分にとっては非常に大事なんです。文章を書く人であれば、書き直したり、推敲的な作業ができる空間と時間。

 ぼくは、自分の作品の説明を求められたときに、現実の現実感と、夢の中の現実感とが重なるようなところで撮りたい、みたいなことを言っているんですよ。夢は自分の脳の中で起こっていることだけれど、自分ではコントロールできない。自分の中に他者がいるみたいな感じ。意識としてはこう思っているのに、そうじゃないほうにどんどんいくとか。

 暗室の中でプリントしているときも夢を見ているような状態にけっこうなるんです。ロケのときにもちょっとはなるんですけれど、暗室のときがいちばんなる。もちろん、写真は撮影で半分以上決まると思うんですけれど、最後の2割、3割くらいは暗室作業で決まる。

 ウィリアム・クラインの時代からモノクロ写真をやっている人たちは、同じようなことを感じてきたと思う。作品性と暗室作業は密接な関係があると思うんです。(談)

構成:米倉昭仁(編集部)


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