その行方がどう影響するか分からないが、冨安が日本守備陣を担うべき存在なのは間違いない。このままコンスタントに国際Aマッチに出続け、長谷部誠(フランクフルト)くらいの年齢までキャリアを続けるとしたら、遠藤保仁(G大阪)が持つ152試合という代表最多出場記録を超える可能性もゼロではない。前線は人材豊富な分、それができるとしたらDFしかない。冨安にはそういう期待も寄せられる。

 堂安の方はアジアカップ以降、オランダ・エールディビジでノーゴールとやや壁にぶつかっている印象はあるものの、久保に匹敵する個の打開力と創造性、アイディアを備えたアタッカーであることは確かだ。「自分の武器は一発のシュート」と本人も言うように、どんな状況でも大胆にゴールを狙っていける。そこは森保監督も前向きに評価している点だろう。

 加えて言うと、メンタリティも日本人離れしている。同じくプロサッカー選手の道を歩んでいる堂安の兄・憂(長野パルセイロ)も「あいつは向上心の塊。『上を目指そう目指そう』と思ってばっかりですね。この1~2年で体も急にごつくなりましたし」と劇的な変化を遂げる弟に驚きを隠せない様子だった。そんな貪欲さを持つ男だから、ここ最近の停滞感はすぐに払しょくできるはず。同じ学年の安部や年下の久保、2000年年代生まれのアタッカー陣が頭角を現してきたことをいい刺激にもできるはずだ。

 こうした注目選手の中で、真の「令和の怪物」になるのは果たして誰なのか。彼ら以外の人間が巻き返しを図ってくるのか。そのあたりが大いに気になるところだ。いずれにしても、日本サッカー界は着実に世代交代が進んでいる。その流れを見逃してはならない。(文・元川悦子)