フェイスガードもメジャーから日本に“輸入”された物の一つ (c)朝日新聞社
フェイスガードもメジャーから日本に“輸入”された物の一つ (c)朝日新聞社

 日本のプロ野球は、良くも悪くもメジャーリーグからの影響を強く受けている。最近ではコリジョンルールやビデオ判定などの制度的なことから、オープナーなどの戦術やフェイスガードなどの道具類、さらにはサイレントトリートメントなどの「お約束」まで多岐に渡っている。

 これらのうち、選手の故障防止に直結するコリジョンルールやフェイスガードは異論の余地なく導入すべきものであり、ビデオ判定も審判の威厳という毒にも薬にもならないものが失われる可能性があるということに目をつむれば、適正な試合進行に寄与するのは間違いない。

 その一方で、オープナー(ショートスターターなども含む)はお試し程度に導入した球団がいくつかある程度。またここ数年のメジャーリーグでは当たり前のようにみられるようになった極端な守備シフト(例えば三塁手が一、二塁間を守るような)や、2番にホームランバッターを置く打順の組み方、さらには打球に角度をつけてヒットやホームランが出やすくする打撃理論、いわゆるフライボール革命も日本では球界を席巻するには至っていない。

 今季の日本開幕シリーズ後に現役引退を表明したイチローは、本来は頭を使わなくてはできない野球という競技が、そうじゃなくなってきているとの見方を示した。これはメジャーリーグが一発狙いの大味な野球になりつつある現状を踏まえた発言と思われ、その上で「日本の野球がアメリカの野球に追従する必要なんてまったくなく、日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいなと思います」と語っていた。

 日本の野球の伝統的なスタイルは、バントやヒットエンドランなどの小技や機動力を駆使した「つなぐ野球」というのが、ファンを含めた一般的な認識だろう。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した際の戦い方は、まさにこうしたスモールベースボールだった(元をただせば、これもかつてメジャーリーグでもてはやされたスタイルではあるが)。スモールベースボールはベンチや選手が状況に適した野球というものを常に考えていく必要がある、まさに頭を使う野球だ。

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今後メジャーから導入される可能性があるのは?