NHKが取り上げた「アローン会」は、画期的な番組だった (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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NHKが取り上げた「アローン会」は、画期的な番組だった

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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岡村隆史(左上)、今田耕司(右上)、又吉直樹(左下)、徳井義実(右下) (c)朝日新聞社

岡村隆史(左上)、今田耕司(右上)、又吉直樹(左下)、徳井義実(右下) (c)朝日新聞社

 また、結婚に向いているかどうかを診断する「結婚適正チェック」が行われていた。又吉は4人の中では最年少の38歳だが、適正テストでは最も結婚に向いていないと診断されてしまった。

 そんな中でも、この番組で最も興味深かったのは、独身者である彼らの本音らしきものがにじみ出ていたところだ。徳井は恋愛の経験も豊富で同棲もしたことがあるため、結婚に対してそれほど焦りを感じてはいなかった。だが、44歳になったときに、心境の変化があったというのだ。

「僕は44というものになったときに、やっぱり『うわー!』って。で、そうなったときにやっぱり今田さんとか岡村さんとかの先人たちに尊敬の念がわいたというか。この恐怖を何年も耐えてはんねや、っていう。ほんまにすごいなと思ったんですよ」

 この話を受けて、岡村が最年長の53歳である今田に「50になるときに怖くなかったですか」と水を向けると、今田は真剣な口調でこんなことを言った。

「怖いどころか、あのね、50になるとき怖いとか、しょせん44になったとき怖いやん。もう定期的なこと言うてるやん。50になってみ、ずーっと怖いからな。ずーっと怖いからな。ずーっと怖い。来年も怖い、今も怖い、去年も怖かった。前の年も怖い。50になってからは一回も休まったことない」

 今田はそんな自身の体験を踏まえて、年下である徳井には「失敗してもいいから40代のうちに一度は結婚しておいた方がいい」とアドバイスを送っていた。

 金銭面でも恋愛面でも全く何の不自由もなさそうな生活を送っているはずの今田でさえ、底知れぬ「怖さ」を抱えながら生きている。こんな実感のこもった言葉を引き出せただけでも、この番組の存在意義はあったと思う。

 バラエティ番組では、結婚は無条件でいいものだとされていて、独身芸人は結婚できない気の毒な存在であるか、または結婚できるのにしていない変わり者だと見なされることが多い。だが、世の中では独身のままで一生を過ごす人も増えているし、独身生活を送る当事者たちの気持ちもそれほど単純なものではないだろう。『さよなら!アローン会』は、単純ではない問題を単純ではないままの状態できちんと取り上げたという点で画期的な番組だった。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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