最後に実績は十分だが、試してもらいたい投手が一人いる。それは上原浩治(巨人)だ。昨年オフに左膝の手術を受けた影響でキャンプから二軍暮らしが続いているが、イースタンでは9回を投げて10奪三振をマークするなどまだまだ力があるところを見せている。長年の経験は大きな武器だが、東京ドームの狭さと被本塁打の多さを考えると終盤の大事な場面での起用はどうしても怖さがあるのも事実だ。また、上原が先発で最初の2回くらいまで主力から三振を奪ってピシャリと抑えることができれば、チームや球場の雰囲気は一気に巨人に傾くことにもなるだろう。故障からの復活の舞台が11年ぶりの先発のマウンドというのもなかなか粋な計らいではないだろうか。

 オープナーの起用例、成功例はまだまだ少なく、今後MLBでもNPBでも定着するかは未知数である。しかし新たな起用法で成長する投手や復活のきっかけとなる投手が出てくることも大いに考えられるだろう。今後、どのチームが採用してどんな投手が起用されるか、注意深く見守りたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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