こうした教訓からも分かるように、10代のスター候補生は慎重に育てていく必要がある。久保のように頭抜けたポテンシャルを備えたタレントであればなおさらだ。

 彼には18歳になる今夏、バルセロナ復帰の話も持ち上がっていて、こうしたキャリアも踏まえながら代表活動をどうするかを考えていく必要がある。「久保が必要だから呼ぶ」と各年代の指導者が主張して、無法地帯に陥ってしまったら、それこそ小野や市川の二の舞になりかねない。

 森保監督がA代表と五輪代表の指揮官を兼務し、さらにコーチングスタッフも年代別代表と行き来しているのだから、コミュニケーションはこれまで以上にしっかりと取れるはず。さしあたって5月7日にU-20ワールドカップに挑むメンバーが発表されるが、そこに久保が入っていなければ大きな問題になりかねない。その動向が気になるところだ。

 久保と同じ世代には、桐光学園高3年ながらいち早く内定先のセレッソ大阪でプロデビューを果たした西川潤、カズと35歳差コンビとして話題になった横浜FCの斉藤光毅など才能あふれる17歳選手がいる。彼らもいずれ、上のカテゴリーとの掛け持ち、代表とクラブのハードスケジュールという問題に直面するかもしれない。さらに言えば、海外移籍した場合の扱いなども視野に入ってくるだろう。

 そういう若手をどうやって育てていくかを今こそ明確にすべき時。森保監督を筆頭に日本としての方向性をハッキリさせることが肝要と言っていい。(文・元川悦子)