A代表入りにも期待が集まる久保だが… (c)朝日新聞社
A代表入りにも期待が集まる久保だが… (c)朝日新聞社

 J1平成ラストマッチとなった4月28日の第9節。今季開幕から無敗で首位をひた走っていたFC東京がJ1昇格組の松本山雅を2-0を撃破。トップを維持したまま、新時代・令和へと突入することになった。

 そのけん引役となったのは、小学生時代をFCバルセロナ(スペイン)で過ごした17歳の久保建英だ。前半44分の先制ゴールの場面では、味方と敵が交錯してこぼれたボールを拾い、そのままスピーディーなドリブルで前線へ。ゴール前で待ち構えていた永井謙佑に絶妙のスルーパスを送り、1点目をお膳立てした。そして2点目は自らが得たPKをディエゴ・オリヴェイラが決めたものだった。

 彼自身は「入ったと思った」と確信した左足ループシュートが左ポストを直撃するなど、喉から手が出るほどほしい今季J1初得点をいまだ挙げられていないが、近いうちにゴールが生まれるはず。敵将・反町康治監督も「将来の日本を背負って立つ選手」と絶賛したが、令和の久保は平成でカズ(三浦知良)が挙げた日本代表55ゴールを追い越す可能性を秘めていると言っても過言ではない。

 もはやFC東京の絶対的エースと言ってもいいほどの存在感を示す久保には、日本代表の森保一監督らも熱視線を送っている。5月以降は代表活動が目白押しで、5月下旬からU-20ワールドカップ(ポーランド)が開幕し、6月頭からは東京五輪世代のU-22日本代表が参戦するトゥーロン国際大会(フランス)が始まる。

 さらに6月中旬からはコパアメリカ(ブラジル)もあり、そこに森保ジャパン(A代表)が参戦する予定になっている。久保は全チームに参加資格があるため、どこを優先させるべきかが日本サッカー協会内で議論されている。

 今回のコパアメリカはJリーグ開催中の大会で、森保監督が招集できるのは各クラブ1人。海外組も拘束力の問題があるため、2019年1~2月のアジアカップ(UAE)に参加した大迫勇也(ブレーメン)や吉田麻也(サウサンプトン)は呼べず、アジアカップ不参加の香川真司(ベシクタシュ)や昌子源(トゥールーズ)も微妙な情勢だ。

 日本企業のDMM.comが運営するクラブのシントトロイデンも冨安健洋や遠藤航の招集に難色を示していると言われていて、本当に目ぼしい選手がいない。だからこそ、森保監督は久保抜擢を真剣に考えているのだろう。

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若い才能を考えなしに起用する危険性