「そうなんですよね。周りから記録のためボールを当てにいったなんて言われると、困っちゃいますよ」と答えたイチローは、同24日の日本ハム戦(東京ドーム)で藤田の記録を更新。翌25日に記録を「216」まで伸ばしたところで、下柳剛に空振り三振を喫し、記録に終止符を打った。

「スッキリしました。でも、もう1球ごとにざわめくのはなくなるでしょう」。

 仰木の助言を受け入れる一方、記録を達成することでファンも十分に楽しませるイチロー流のケジメのつけ方。まさに「この師にして、この弟子あり」である。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら