ストレートも数字以上の速さを感じるボールで、内角を思い切って突くことができる。アメリカでは投げる投手が少ないフォークのブレーキがあるのも大きな武器だ。開幕前のアスレチックスとのオープン戦でも2回を投げて無失点と好投を見せている。打者を圧倒するような投球は見せることはないが、ある程度長いイニングを投げられるため、こういうタイプのサウスポーはアメリカでも重宝されるだろう。

 同じ変則タイプでは今売り出し中の大竹耕太郎(ソフトバンク)も面白い。育成選手としてのプロ入りながら、1年目の7月に支配下登録されていきなり3勝をマーク。2年目の今年も開幕からローテーションを守り、先発の一角として活躍している。大学3年、4年時は技巧に走り過ぎて完全に調子を落としていたが、プロでストレートのキレを取り戻したことで見事に飛躍を遂げた。それでもストレートは140キロ台前半だが、チェンジアップと大きなカーブで緩急をつけて打者のタイミングを外す投球術は見事という他ない。メジャーの強打者でも手玉に取ってしまうのではないかと期待を抱かせる若手サウスポーだ。

 加藤と大竹は先発での登板が多いが、完璧なリリーフタイプとして面白いのが公文克彦(日本ハム)だ。極端にインステップするフォームから投げ込むストレートは独特の角度があり、スピードも140キロ台後半をマークする。球種は少なくほぼストレートとスライダーだけで勝負するが、スライダーにもバリエーションをつけられるのが持ち味。ワンポイントではなく、基本的には1回をしっかり投げ切れているのも評価できる。中継ぎを手厚くしたい球団にとってはぜひ狙いたい選手ではないだろうか。

 野手では過去の傾向を見ると、やはり内野手より外野手の方が成功する可能性が高い。若手で可能性を感じるのが田中和基(楽天)だ。脚力と肩の強さは12球団でもトップクラスで、野性味あふれるプレーが持ち味。細身だが意外なパワーがあり、攻守に見せる華やかさは新庄剛志(元メッツなど)を彷彿とさせる。スイッチヒッターという希少性も大きな価値である。

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田口壮になれそうな選手は…