そうこうするうちに個人商店が閉店することになり、宮本村長は14年4月以降、北海道を中心に「セイコーマート」を展開するセコマの本社(札幌市)にたびたび足を運び、初山別村への出店を要望した。この時、村の中心部、国道沿いにある村有地を、年3万円で貸すことを提案。「公的な役割も担いますし、なるべく経営に負担がないようにと考えました」(宮本村長)

 セコマの広報担当者は「村有地の安価での提供が(出店の)決め手の一つでした」と振り返る。村側が提示した村有地が、同社が道内に展開する物流センターや店舗、工場を結ぶ配送ルート上にあり、商品の運搬などが効率的に行えることも出店を後押しした。

 また、出店準備では、村内全戸に配る広報誌にパート募集のチラシを折り込むなど、村側も人手確保に協力した。こうして、住民が待ちに待ったコンビニがオープンされたのだ。

 それから4年。初山別店は「働き盛りの若い人も高齢者にも利用していただいている。暮らしのために必要なものをいろいろ買いますので、客単価も高いのではないでしょうか」(宮本村長)。セコマには「(村で)買うことができなかった本が買えるようになった」、「今までは店が遠すぎて溶けてしまうため、買いたい時に買えなかったアイスが買えるようになった」、「村が明るくなった。(セイコーマートで買い物をするため)夜になっても人が出ている」といった声が寄せられている。

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どうやって採算をとっているのか?