今季はフリーを振り付けしてくれたブノワ・リショー氏と何度もプログラムのブラッシュアップに励んだが、その効果が出てきた結果だ。来季へ向けてはトリプルアクセルへの挑戦の意向を示しているが、最終戦の世界国別対抗で出した76・95点が自己最高になっているSPでも、今後は3回転フリップ+3回転トーループではなく3回転ルッツ+3回転トーループにするなど、得点力アップも意識し始めている。その中で小さなミスをいかに無くすかが重要なポイントになるだろう。

 実力者の宮原も、平昌五輪後の今季はジャンプを修正するなど新たな取り組みを始めていた状況だったが、それにもかかわらずGPファイナルにも進出して世界選手権にも出場と、大きな舞台を外さなかったのは力がある証拠。来季はもっと完成度を上げてくるはずだ。

 また今季は彼女らしさを存分に出すプログラムにした三原舞依もシーズン序盤は210点に届かないながらも、GPシリーズ2戦目のフランス国際ではフリーで最後のサルコウを2回転ではなく3回転にしていれば優勝でき、日本人4人目のファイナル進出者になる惜しい戦いをしていた。さらにシーズン後半は四大陸選手権で3位になり、ユニバーシアードでは220・68点を出して優勝と底力を見せつけている。

 そんな4人に加え、来季を睨めば今季はケガやプログラム作りの遅れで波に乗れなかった昨季の世界選手権2位の樋口新葉もいる。彼女もまたトリプルアクセルを意識しているはずで、持ち味のスピードを生かした滑りが復活すれば戦いに加わってくるはずだ。また拠点をアメリカに変えて苦しんでいた本田真凜も、ラファエル・アルトニアン・コーチの指導で今季は目立ったジャンプの回転不足を克服すれば、表情豊かな表現力や柔らかい滑りには定評があるだけに侮れない存在になるはず。

 それぞれの選手が自分が持っている力を発揮できるようになれば、世界選手権などの代表争いも6人で競り合うような状況。来季そんな構図が完成すれば、その戦いは北京五輪の代表争いにまで続くだろう。

 ジュニア勢が加わって熾烈な争いになるだろうロシアとともに、世界をリードする存在になるのは必至だ。(文・折山淑美)