本田真凜らの逆襲はあるのか? (c)朝日新聞社
本田真凜らの逆襲はあるのか? (c)朝日新聞社

 3月の世界選手権ではメダル獲得こそ逃したが、フリー2位で追い上げた紀平梨花は3位に0・31点差。それに坂本花織が0・66点差で続いて宮原知子が6位と、安定した力を発揮したフィギュアスケート日本女子。来季の世界の情勢は4回転を持つロシアのジュニア勢がシニアに上がってきてどんな旋風を吹き荒らすというところにかかる部分はあるが、日本勢の世界レベルの競り合いは益々激しくなりそうな気配だ。

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 その争いをリードするのは紀平になるだろう。シニアデビューの今季はトリプルアクセルの完成度を高めて確実な武器にしただけではなく、他のジャンプも確実に決める能力の高さは見事なものだった。そんな穴の無い滑りに加え、シニアへ向けてしなやかな表現も意識してしっかり作り上げてきたからこそ、演技構成点もあがって世界のトップで戦えるようになった。

 さらに紀平は来季へ向け、トリプルアクセルだけではなく4回転トーループへの挑戦も明言している。確実にプログラムに入れられるレベルにならなければ無理には入れないというが、4回転を飛んでいるロシアのジュニアがトリプルアクセルを跳べていないことを考えれば、入れられるようになればさらに可能性は広がる。現時点でも240点越えの可能性を持っているがそれをさらに引き上げられることになるのだ。ただ無理に入れればそこで精神的なエネルギーを注ぎ込むことになるだろう。他のジャンプとの意識のバランスをうまく取れるかという課題もあるだろう。

 今季はその紀平を追うところまで力を伸ばしたのが、坂本だろう。世界選手権だけではなく、初進出のGPファイナルや連覇を狙った四大陸選手権というビッグ大会では、僅かなミスでメダルを逃す悔しさを味わい、詰めの大切さを知った。元々ダイナミックなジャンプと天真爛漫な演技が持ち味だが、惜しい戦いをする中でも演技構成点を着実に伸ばしているのは注目できる。世界選手権のフリーの演技構成点は、合計で3位に上げたエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)を上回り、アリーナ・ザギトワ(ロシア)に次ぐ得点を獲得している。

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日本の女子フィギュアはさらなる混戦模様に