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東大・上野千鶴子祝辞だけじゃない 心に残る学長のスピーチとは?

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小林哲夫dot.
京都精華大の入学式で式辞を述べるウスビ・サコ学長(2018年4月)

京都精華大の入学式で式辞を述べるウスビ・サコ学長(2018年4月)

国際基督教大の入学式で式辞を述べる日比谷潤子学長(2019年4月)

国際基督教大の入学式で式辞を述べる日比谷潤子学長(2019年4月)

 東京大入学式での上野千鶴子氏による祝辞が注目されている。

 なかでも、東京大生に向けた、「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください」(4月12日)は、大きな話題となった。

 だが、上野氏ばかりではない。今年の大学入学式では、上野氏と同じくらい、いや、それ以上にインパクトがある式辞を行った学長がいた。何人か紹介しよう。

 京都精華大のウスビ・サコ学長は、アフリカ・マリ共和国出身である。今年の入学式でのサコ学長のメッセージは強烈だった。

「京都精華大学が開学された1960年代は、日本だけでなくアジアやアフリカでも『自由』と『人間尊重』のための様々な運動が起こり、一定の成果を収めました。しかし昨今、近代の時代が作り出した国民国家が、グローバル化によってその限界をあらわにしており、そこにかつて共生していた民族間の葛藤が発生しています。(略)

 私の出身国であるマリ共和国でも、つい先月、民族間の対立により、特定の民族が別の民族の村を焼き打ちし、150人以上が殺害される事態が起きました。殺し合いがあった民族同士は長年共存し、互いの価値観を尊重してきたはずです。

 グローバル化は、因襲的な束縛から個が解放される一方で、地域紛争や民族対立が顕在化し、経済格差が広がり、人びとに不安や分断をもたらしています。また、国際社会の秩序の乱れ、地域格差の拡大などの課題も顕著になり、悪化した生活環境で教育が受けられない子どもも増加しています。新入生のみなさんには、これらの問題を自分たちが生きている社会の課題として捉えていただきたいと思います」

 サコ学長は最後にこう締めくくっている。

「南アフリカの反アパルトヘイト運動を主導したネルソン・マンデラ氏の教育に関することばを贈ります。

――『教育とは世界を変革するために用いることのできる最も強力な武器である』」(4月1日)

 説得力がありすぎる。入学式の式辞でネルソン・マンデラを引き合いに出すのに、サコ学長はもっともふさわしい人物と言えるだろう。

 サコ学長は、昨年(2018年)の入学式の式辞で、ドイツ出身の哲学者、思想家のハンナ・アーレントのことばを引用している。大学は全体主義の考え方を否定する、と宣言した。


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