イラスト/中川原 透
イラスト/中川原 透

 慢性腎臓病は、気づかないうちに進行し、体調に変化が現れて病院を受診したときには、すでに人工透析が必要な状態にまで悪化しているということも珍しくありません。腎臓病患者が腎臓の機能をなるべく落とさないようにするには、どんな生活したらいいのでしょうか。週刊朝日ムック『「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』では、中島土谷クリニック院長の森石みさき医師と土谷総合病院副院長の川西秀樹医師に聞いてみました。Q&A形式で紹介します。

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Q:風邪やインフルエンザにかかると、腎機能を悪化させる?

A:当然、悪化させる。予防対策を万全に

 風邪やインフルエンザなどの感染症にかかり、発熱したり脱水を起こしたり、肺炎になったりすると腎機能は悪くなります。また、治療のために抗菌薬や鎮痛解熱薬などを使用することでも、腎臓に悪影響を与えます。なるべくかからないよう、予防対策をすることが第一です。はやっている時期には特に、うがいや手洗い、マスク、人混みには行かないといった注意が不可欠。インフルエンザワクチンの接種も有効です。ワクチンによる腎臓への影響はありません。

Q:入浴は腎機能にいい?温泉は入っても大丈夫?

A:血液循環がよくなる。飲泉は成分に注意

 入浴をしたからといって特に腎機能がよくなるわけではありませんが、からだが温まると一時的に血管が広がって血液循環がよくなり、また清潔を保つことができます。ただ、気温が低い時期の入浴では、急に温かいお風呂に入ることでヒートショックを起こすなど入浴時の死亡事故が増えているので注意が必要です。また、温まりすぎると血圧が下がりボーッとなりがちなので、目安としては40度ほどのお湯に3分間ほど、2~3回つかるのがよいといわれています。2014年以前は、腎臓が悪い人の温泉入浴は禁じられていましたが、現在はむくみがなければ入ってもよいとされています。温泉水を飲む場合には、成分中にナトリウムイオンやカリウムイオンが入っていないか、確認してからにしましょう。

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