賛否両論の帰化 白鵬が心に秘める相撲への“真実の愛”と“覚悟” (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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賛否両論の帰化 白鵬が心に秘める相撲への“真実の愛”と“覚悟”

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十枝慶二dot.
相撲に深い愛を持つ白鵬 (c)朝日新聞社

相撲に深い愛を持つ白鵬 (c)朝日新聞社

 白鵬がモンゴル国籍からの離脱を同国政府に申請していることを、4月17日付のモンゴルの複数主要紙が報じた。白鵬は現役引退後、親方となって自分の相撲部屋を開き、弟子たちを育てる希望を持っている。しかし、親方として日本相撲協会に残るには、日本国籍を有しなければならないというルールがある。モンゴル国籍からの離脱の理由はそこにあると考えるのが自然だ。白鵬本人は多くを語らなかったものの、否定しなかった。

 昨年、死去した白鵬の父はモンゴル相撲の大横綱であり、レスリング選手としてもメキシコ五輪で銀メダルに輝き、モンゴル初の五輪メダリストとなった英雄だ。日本で大横綱となった白鵬自身も、モンゴルの英雄である。もしも、日本人で同じような国民的英雄が日本国籍を離脱したら、悲しみ、反感を抱く人も多いだろう。批判を受けることは想像に難くない。

 白鵬がそんな状況を覚悟のうえで日本に帰化し、大相撲の世界に残る決断をしてくれたことに、私は心から感謝したい。なぜなら、白鵬は相撲への深い愛情と、常識にとらわれず新しいことに取り組もうとするビジョンと、それを実現する行動力を兼ね備えた稀有な人材だからだ。

 東日本大震災の際、力士たちは被災地に赴き、復興支援を行った。それを引っ張ったのが白鵬だ。当時、相撲界は八百長問題などの不祥事にまみれ、前代未聞の本場所開催中止にまで追い込まれていた。そんな時に復興支援という目立った行動に出ることをためらう声もあったと聞く。しかし、白鵬は自ら、被災地に赴くことを強く主張し、率先して行動した。その姿が、力士や協会関係者の背中を押した。力強く四股を踏み、土俵入りを行う姿は多くの被災者を励まし、結果的に、大相撲が蘇るきっかけともなった。

 少年相撲大会「白鵬杯」は約10年前、白鵬自身の「一人でも多くの子供たちに相撲を取ってほしい」という強い思いから生まれたものだ。ゼロからのスタートで、当初は無謀な試みと思われたが実現にこぎ着けた。課題も多く、継続は困難と思われたが、白鵬自身がぶれずに熱い思いを抱き続け、多くの人たちの賛同を受けて発展し、回を重ねてきた。9回目を数える今年は、日本各地だけでなくモンゴルやアメリカ、中国など8つの国・地域から約1200人が参加するまでになった。



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