文学座出身の演技派俳優、内野聖陽 (c)朝日新聞社
文学座出身の演技派俳優、内野聖陽 (c)朝日新聞社
矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

きのう何食べた?」(テレビ東京系)が楽しみでならない。4月スタートドラマナンバーワン間違いなし、と思う。

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 良い原作(よしながふみの同名漫画)に良い役者(西島秀俊内野聖陽)を得て、深いゲイカップルのドラマになった。「深い」って何ですか、という話なのだが、別な言葉にするなら「俯瞰した目で描いている」だろうか。

 ゲイの恋愛ドラマと言えば、ちょうど1年前に放送された「おっさんずラブ」(2018年、テレビ朝日系)の成功がある。大人気になり、8月には映画が公開される。

「きのう何食べた?」は「おっさんずラブ」の成功を踏まえ、その先を描こうとしたのかな、と思う。「おっさんずラブ」を見ながら、ちょっとモヤモヤしていたところを、とても上手に描いているからだ。

「テレ東プラス」というテレ東の番組宣伝サイトを見たら、内野のインタビューが載っていた。それが私のモヤモヤを言葉にし、答えてくれていた。ああ、「おっさんずラブ」になかったこういうところを、「きのう何食べた?」は描こうとしているのだな、とわかった。

 インタビューの見出しはこうだ。

 内野聖陽“ベッドではどうなのかな?”という話を西島さんとよくします:きのう何食べた?

 そこで内野は、よしながの原作には描かれてないが2人には男女と同じようにスキンシップがある、という話をしている。だから「2人はベッドではどうなのかな?とか、そういう話」を西島とよくしている、「あ、よくはしてないか、たまにね(笑)」と。そして、こう語った。

「人には見えない部分ですが、カーテンの裏側を想像させる演技が必要で、そこをシェアしておかないと外ににじみ出てこない。自然な時間というものは、スキンシップやいろんなコミュニケーションの中から生まれてくるものなので、そこは僕と西島さんが大事にしているところですね」

 そう、「おっさんずラブ」を見ながら、モヤモヤしていたのはそこなのだ。「2人はベッドではどうなのかな?」がにじんでこない。だから「自然な時間」が流れている感じにならない。なんというか、ずっとお祭り騒ぎな感じ。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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