菅直人元首相(c)朝日新聞社
菅直人元首相(c)朝日新聞社

お遍路中の菅直人元首相=2,013年(c)朝日新聞社
お遍路中の菅直人元首相=2,013年(c)朝日新聞社

 元首相の“暴言”を発端に、野党の場外乱闘が意外な展開を見せている。

 立憲民主党の菅直人元首相は9日、自身のツイッターに<国民民主党は、政治理念が不明確なので解散し、参院選までに個々の議員の判断で立憲との再結集に参加するのが望ましい>と投稿。立憲民主と国民民主は夏の参院選に向けて選挙協力を模索しているが、表向きは「友党」である政党に元首相が公然と解散を要求し、冷や水を浴びせた格好だ。

 さすがにこの発言には、国民民主だけではなく立憲民主党内からも批判が噴出した。立憲民主会派の岡田克也衆院議員は11日、菅氏の発言について「慎むべき発言」と自重を促した。

 一方、菅氏自身は発言に問題があったとは考えていないようだ。枝野幸男代表は、菅氏に対して口頭で注意をしたが、ツイッターの投稿は現在も残されたまま。枝野氏も実質「処分なし」で問題を収束させるつもりのようだ。菅氏には発言の真意や投稿を削除する意志があるかについて取材を求めたが、「選挙で忙しいため、取材を受けることはできません」(菅事務所)とのことだった。

 この発言をめぐっては、国民民主の玉木雄一郎代表が10日、東京都内の行事で同席した菅氏に「煩悩があり過ぎるようなので、お遍路でも回ったらいかがか」と話し、引退勧告をしたと報じられたことも話題になった。菅氏はかつて、年金未納問題で党首を辞任した時や首相退任後にお遍路をしたことがある。玉木氏の選挙区はお遍路道がある香川県でもあり、「よかったらアレンジしますよ」とも提案したという。

 ただ、実際のやり取りは少し違ったようだ。玉木氏周辺はこう話す。

「実は、その行事には枝野さんら元民主党の幹部も参加していて、お遍路の話題は先に元幹部から先に出たんです。それに応じた玉木さんが、菅さんに『お遍路道を紹介しますよ』と話したのが、『元首相に対して引退勧告をした』と強く問い詰めたように報道された。玉木さんとしては想定外だったようですが、党には激励する声が相次いだそうです」

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きしむ野党の選挙協力体制