ヤクルト・雄平 (c)朝日新聞社
ヤクルト・雄平 (c)朝日新聞社

 気がつけばもう4月も後半だが、つい先週ぐらいまでは冬を思わせるような寒い日もしばしばだった。ヤクルトが本拠地・神宮球場での“開幕”を迎えた今月2日などは、東京都内でも最低気温2度を記録。ナイターで行われたDeNAとの3連戦でも、フィールドに立っていても寒そうな選手の姿が目についた。

 ドームならいざ知らず、そうした寒さの中で神宮のような屋外球場で試合をするとなると、防寒対策は欠かせない。ヤクルトのOBで、昨年までDeNAでプレーしていた田中浩康氏は、テレビ解説の中で春先は全身にホットクリームを塗り、時にはホッカイロを貼っていたという現役時代の逸話を披露していたが、選手は皆それぞれに工夫を凝らしている。

 山田哲人が押し出し四球を選び、ヤクルトがサヨナラ勝ちを収めた4月3日の試合。8回に起死回生の同点3ランを放ち、ヒーローとしてお立ち台に上がった雄平は、家路に就く際に1枚のダウンベストを携えていた。

「めっちゃ良かったです、これ。田代に借りたヤツなんでちょっときつかったですけど、キュッとしてたほうが密着するんで風を通さないんですよね」

 控え外野手の田代将太郎に借りたというそのダウンベストを着て試合に出場し、ホームランも打ったのだという。選手によって防寒対策も千差万別とはいえ、ベスト着用というのはあまり聞いたことがない。そこで、貸した田代に聞いてみると──。

「(ヤクルトは)ネックウォーマーがダメなんで、ベストは必須アイテムです。僕は(西武)ライオンズの時から着てるんですよ。(炭谷)銀仁朗さん(現巨人)が始めたと思うんですけど、西武ではけっこうみんな着てましたね。ヤクルトの人はあまりベストって思いつかないと思うんで、みんな『寒い寒い』って言ってるんですけど、僕は全然寒くないです(笑)」

 先に「ドームならいざ知らず」と書いたが、田代が一昨年まで在籍していた西武の本拠地メットライフドームは「ドーム」と言いながらも完全に密閉されてはおらず、春先の試合では冷たいすき間風が吹きすさぶ。そのため、防寒対策にベストを着用していた選手は、少なくなかったのだという。

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