古田氏と同じ捕手出身者として露出を増やしているのが、里崎智也氏だ。現役時代から物怖じしない明るいキャラクターで人気が高く、引退ライブはもはや伝説。引退後は、そこにバッテリーの配球面を中心とした確かな分析力を加え、辛口ながら分かりやすい解説で人気を高めている。これまでの常識、定説に疑問を投げかけて大胆に打ち破るスタイルは、刺激的で面白い。

 その他、根強い人気を誇るのが、立浪和義氏だろう。端正なマスクと爽やかな語り口、そして現役時代に培ってきた確かな野球力で選手を評価し、打撃面だけでなく、守備面や走塁面での解説も非常に納得できる。同じく内野手として活躍した仁志敏久氏も、現役時代から発揮して来た高い野球力を解説者としても披露し、その分析力は非常に的確で分かりやすい。若年代の侍ジャパン代表監督も務めており、その経験も「伝え手」として活きているのだろう。

 ただ「面白い」と感じる基準は人それぞれ。解説の節々で「技術より気合、精神力」を訴える川藤幸三氏の解説は、威勢が良く、聞いている者を楽しくさせる。同じく福本豊氏の擬音語を連発しながらも自然体な解説も、時に笑えるほど楽しい。例えば居酒屋で「酒を飲みながら」試合を見る際には、小難しい話よりも、よっぽど“聞きやすい”と言えるだろう。

 もうすぐ「令和」の時代を迎えるが、プロ野球の解説者も「昭和的な」と「平成的な」に分かれ、それぞれの楽しみ方がある。これから「令和的な」解説を作り上げ、新たな“楽しさ”を視聴者に届けてもらいたい。