宮原知子との“切磋琢磨”で才能を開花させた紀平梨花 (c)朝日新聞社
宮原知子との“切磋琢磨”で才能を開花させた紀平梨花 (c)朝日新聞社

 フィギュアスケートでは、優秀なコーチの下に優秀な選手達が集まって練習しているケースが多く見られる。平昌五輪男子シングル金メダリストの羽生結弦と銅メダリストのハビエル・フェルナンデスが、ブライアン・オーサー・コーチが教えるカナダ・トロントのクリケット・クラブで切磋琢磨していたことはよく知られている。また、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)を教えるエテリ・トゥトベリーゼ・コーチは、アレクサンドラ・トルソワやアンナ・シェルバコワといった4回転ジャンプを跳ぶジュニアの天才少女達も育てており、現在の女子シングルを牽引する存在だ。

 また、日本でも濱田美栄コーチの下で紀平梨花と宮原知子が、また中野園子コーチの下で坂本花織と三原舞依が共に練習を積んでいる。よい指導を受けるとスケートの技術が伸びるのはもちろんだが、チームメイトの滑りに刺激を受け、目で学ぶこともスケーターの成長には大きな効果があるのかもしれない。昨年末の全日本選手権で初優勝した坂本は、「練習から舞依ちゃんがすごく調子よくて、だんだん自分の出来が不安になってきて……そのまま離されてしまいそうな気がしたので、これはまずいと思った」と話している。親友でもある三原だからこそ、坂本にとってはその練習ぶりがいいモチベーションになったのだろう。

 紀平が優勝、宮原が2位と教え子二人がワンツーフィニッシュを果たした昨年11月のNHK杯では、濱田コーチが「二人(を同じ試合に)出すって、やっぱり難しかった」としながらも、次のように話している。

「ライバルは大事です。エネミー(敵)じゃなくて、ライバルは自分にとってすごく大事。いい選手を育てるには、良きライバルが必要。どんなスポーツでも、それはあると思う。『相手を尊重して、大切にしなさい』と言ってあります」

 メダリスト会見でも、紀平と宮原には、ライバルと一緒に練習することについての質問があった。シニアのグランプリシリーズデビュー戦で優勝した紀平は、次のように答えている。

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『敵ではなくいいライバル』