ーー試合結果に左右されないエンターテインメント空間。

 メイン球場正面にはかつてここでプレーした名選手たちの巨大バナーが掲示されている。ダルビッシュ有、大谷翔平中田翔。まさに鎌ヶ谷から旅立ったレジェンドたちである。

「あれが鎌ヶ谷なんです。例えば、毎年一軍のオープン戦を鎌ヶ谷でやる。正直、経費などを計算すれば一軍戦開催は赤字。でも数字以上に影響がある。一軍の試合見て鎌ヶ谷を知る。そこで面白いことをやっていれば、二軍戦にも足を運んでもらえる」

「二軍スタッフとして言うと、鎌ヶ谷はチャレンジの場所。イベントやグッズなど、すべてにおいて試してみる。それは一軍では無理だよ、ということも中には二軍ではやれることもある。そこで手応えをつかめれば、うまく味付けをして一軍で実現できる可能性もある」

 一軍を宣伝媒体として活用し二軍を知ってもらう。下での挑戦、経験を上で活かす。北海道と鎌ヶ谷の連携を考えている根底には危機感もあるという。

「他競技では同じ千葉県内のバスケット・千葉ジェッツさんが盛り上がっている。ディズニーランドやUSJなどの施設もある。我々のライバルはそういうものすべてだから視察にも行く。やはりマンネリが一番良くない。毎年のようにイベントを変えたり、数年おきに乗り物なども変えたりしている。そういう部分は本当に参考になる」

「コンテンツの柱はもちろん野球。でもそれだけではお客さんは集まってくれないし、リピーターになってくれない。スポーツはシーズンの半分は負ける。それでも楽しかった、また来たいと言ってもらえるようにしないといけない。あそこに行けば何かがある。いつもと異なる体験ができる。常にワクワク感を感じてもらいたい」

ーー下の熱を生み出すことが全体を温める。

 鎌ヶ谷移転直後は年間約2万人ほどだった観客動員。試行錯誤しながらも年間約10万人を超えるほどになった。これは二軍戦としては大きな数字であるが、そこで満足することはない。

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チームを支えるファイターズタウン鎌ヶ谷