芸人からの信頼も絶大な佐久間プロデューサー (c)朝日新聞社
芸人からの信頼も絶大な佐久間プロデューサー (c)朝日新聞社

 テレビ東京の佐久間宣行プロデューサーがこの4月からニッポン放送で『オールナイトニッポン0』のMCを務めることになった。佐久間氏は『ゴッドタン』『青春高校3年C組』などの人気番組を手がけているテレビ東京の名物テレビマンである。自身の番組やメディアなどで顔を出す機会も多く、バラエティ好きやお笑い好きにはよく知られた人物である。ツイッターのフォロワー数は現在14万人を超えている。

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 佐久間氏は2015年にも単発番組『佐久間宣行のオールナイトニッポンR』でDJを務めていたことがある。その後も芸人やアイドルがレギュラー出演している『オールナイトニッポン』にゲストとして何度か登場していた。そして今回ついに、満を持して冠番組が始まることになった。

 テレビ制作者がタレントとして活動をすること自体は珍しいことではない。ただ、そのほとんどは、フリーの放送作家や制作会社所属のディレクター、プロデューサーなどである。鈴木おさむ、テリー伊藤などがその一例だ。彼らはテレビ局に所属していない外部の人間だからこそ、ある程度は自由な活動をすることが許されている。テレビ局に所属する現役のサラリーマンが、系列局でもないラジオ局で番組を始めるのは異例のことだ。起用する側の狙いは何なのか。

 まず、考えられるのは、ニッポン放送の番組にテレビ東京の社員を起用するという試み自体にニュース性があって面白い、ということだ。前例がない取り組みだからこそ、それだけで話題になる。また、佐久間氏は数々の人気番組を手がけている名物テレビマンであり、熱烈な支持者も多い。佐久間氏の携わってきた番組のファンが、これをきっかけにラジオを聴いてくれるかもしれない。テレビの客をラジオに呼べるという意味でも、佐久間氏を起用するメリットは大きい。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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熱烈なラジオファンだった佐久間氏