Q副作用にはどんな症状があるの?

A最もよくあるのが胃もたれなどの胃腸症状です

 日常的に起こりやすい副作用は、胃がもたれるなどの胃腸症状です。症状があれば薬を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。それは患者の体質を知るうえで重要な情報にもなります。発疹などの皮膚症状もアレルギー反応として出やすい症状です。

 一方、重篤なものでは、まれですが間質性肺炎や甘草による「偽アルドステロン症」、山梔子による「腸間膜静脈硬化症」などがあります。

Q副作用が出やすい漢方薬ってあるの?

A服用量や期間により副作用が出やすい生薬があります

 漢方薬に副作用があると広く認識されるきっかけとなったのが、1996年の「小柴胡湯(しょうさいことう)事件」。慢性肝炎で処方された小柴胡湯を服用した患者が間質性肺炎で亡くなったという事件です。これは小柴胡湯に含まれる黄ごんが原因と考えられています。

 また、甘草は主成分にナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促す作用があり、血圧の上昇やむくみが起こる「偽アルドステロン症」の副作用が出ることがあります。量が増えるほど副作用の頻度が高くなるので、とりすぎに注意しましょう。

 山梔子を含む漢方薬を5年以上服用すると、腸管が慢性的に虚血状態になる「腸間膜静脈硬化症」の副作用が出たという報告も。腹痛や下痢、便秘、腹部膨満感などの症状が出ます。

(文・中寺暁子)

■東邦大学医療センター大森病院
東洋医学科准教授・診察部長 田中耕一郎医師
北海道大学教育学部、富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒。自治医科大学病院一般内科を経て、東邦大学医療センター大森病院東洋医学科へ入局。2017年から現職。

※週刊朝日ムック「家族ではじめる本格漢方2019」から