イラスト/大塚砂織
イラスト/大塚砂織

漢方は副作用が少ないといわれていますが、まったくないのでしょうか? 漢方の副作用に関する疑問について、週刊朝日ムック「家族ではじめる本格漢方2019」では、東邦大学医療センター大森病院東洋医学科准教授・診察部長の田中耕一郎医師に取材しました。Q&A形式で紹介します。

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Q漢方には副作用はないの?

A副作用はありますが頻度は低いです

 西洋薬に比べると頻度は低いですが、漢方薬にも副作用はあります。その多くは生薬に対するアレルギー反応です。食べ物でアレルギー症状が出る人がいるように、特定の生薬にアレルギー反応が出てしまう人がいます。服用後に気になる症状があれば医師に相談しましょう。

Q漢方を飲み始めたら体調が悪くなった気がする…。これって副作用?

A体調悪化のあとに症状が改善するという考え方も

 漢方には、漢方薬が効いていく過程で、一時的に体調が悪化する「瞑眩(めんけん)」という特有の考え方があります。例えばある漢方薬を使い始めたところ、最初は下痢になっていたけれど、数日使い続けているうちに安定して、主訴であった症状も急に改善したというような場合です。瞑眩の症状には、下痢、嘔吐、発熱、発疹、鼻血などがあります。

 ただし、これらの症状は副作用でも起こるもので、それが瞑眩によるものなのか副作用なのかは医師によっても判断が分かれるところです。もちろん、患者が見分けることはできません。このため、漢方薬を飲んで症状が出たら、がまんして飲み続けるのではなく、気軽に医師に相談しましょう。

Q副作用を防ぐ方法ってある?

A長く服用する場合は定期的に肝機能の検査を受けて

 副作用を起こしやすい生薬はある程度決まっています。こうした生薬をとりすぎないことが大切です。特に自分で市販薬を複数選ぶ場合に、同じ生薬が入っていないかどうか、確認しましょう。

 長く服用する場合は、定期的に肝機能の検査を受けること。肝機能障害があると、間質性肺炎を起こしやすくなるという報告もあります。

 また循環器系や腎臓の病気がある人が、甘草を使うときは注意が必要です。持病がある人は必ず医師か薬剤師に相談しましょう。

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副作用にはどんな症状があるの?