千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
※写真はイメージです(写真/getty images)
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 職場の友人がアスペルガー症候群の特徴に当てはまる部分が多い……。そんなとき、友人としてどういった対応をするのがいいのでしょうか? 千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師は、「必ずうまくいくような方法はない」としたうえで、自身の診療経験をもとに、この相談に答えます。

【20代男性Aさんからの相談】同期で入社した職場の友人Bが発達障害ではないかという気がしています。変わり者というか、空気が読めていないというか。勉強はそれなりにできていたみたいですし、決して悪いやつではないんですけど、自分勝手なところも多くて正直浮いてしまっています。気になってネットで調べてみたら、アスペルガー症候群の特徴に当てはまる部分が多いようでした。今までも治療していたという話も聞いていないので確証が持てずなかなか言い出せません。このままでは、上司や周りのみんなの評価も悪くなる一方で心配しています。本人を傷つけないように切り出す方法はありますか?

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 学業に一区切りをつけ社会人としてスタートするとき、私たちに必要とされる社会性は一段とひろがります。生活における仕事の占める割合が増え、なかには休日でも仕事のことで頭がいっぱいという人もおられるのではないでしょうか。

 さまざまな人がいるなかで、関係性を損なうことなく問題を解決していく。継続していくのは大変難しい作業です。ご友人に病気の可能性を伝えるうえで必ずうまくいくような方法はないと思いますが、今回はアスペルガー症候群と称される状態がどのようなものかご紹介しながら、どのような切り口があるか考えていきたいと思います。

 まず、アスペルガー症候群に該当する人は相手の気持ちを感じとったり、自分の気持ちを言葉で伝えたりすることを苦手とします。加えて、自分が親しんだ行動パターンを好むため、自分の予想と違うことに対して柔軟に対応することが難しく融通が利かないような印象を与えてしまうことがあります。

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大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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