「お客さんにお金を払って観に来てもらってる以上は、ボールに対してあきらめない姿勢やすべてにおいての執念っていうのは、プレーの中で常に持っていないといけない。そういう姿勢で1試合1試合、全力で戦っていかなければいけないと思っているので、(選手たちには)あきらめるとかそういったことは一切ないように、最後まで気を抜かないよう生き生きとしたプレーを求めていきたいと思ってます」

 2度目の監督就任に当たってそう話していた小川監督の下、「最後まであきらめない姿勢」は2018年シーズンを通して確実にチームに根付いていった。優勝した広島の41に次ぐ「38」という逆転勝利の数は、その表れと言っていいだろう。

 今年でプロ13年目、ヤクルト移籍5年目の大引啓次が言う。

「去年、僕が(ケガから復帰して)一軍に合流した時も、おととしと違うな、みんなで戦ってるなっていうのは感じました。ただ、悪く言えば去年はまだ『やらされてる感』がありましたけど、徐々にそれが当たり前になってきてますね。それで去年は勝った(75勝した)っていう自信というか、ちゃんと(あきらめない姿勢を貫いて)やれば勝てるっていうのをみんな分かってると思うんで、今年はやらされてるっていう感じはないです」

 チームの看板スター、山田哲人も「習慣みたいになってますよね、最後まであきらめないっていうのが。もう、当たり前みたいになってます」と話すが、これは何も野手に限ったことではない。打線の粘りもすごいが、投手陣の粘りも大きい。青木の本塁打でサヨナラ勝ちした6日の試合にしても、延長に入って大下佑馬、風張蓮、そして左腕のハフがいずれもピンチを招きながら点を与えなかったことが、劇的な幕切れにつながっている。

「点を取られなければ勝てると思ってました。ウチは打線が良いんで、後半に逆転っていうのも多いですし、3点差だろうが4点差だろうが(ピッチャーは)みんなあきらめずにやってると思います」

 そう話したのは、一軍に昇格したばかりで11回表の1死一、三塁をしのいだ風張だが、彼の言葉に象徴されるように、投手からは野手に対する強い信頼が感じられる。

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ヤクルトが見せる「ダイハード野球」