もっとも、さらなる競争激化のためには、植田や中山、板倉が所属クラブで定位置を確保し、コンスタントに出場機会を得ることが重要テーマになってくる。彼らが試合に出なければ、いくら欧州にいたとしても、森保監督は招集には踏み切れない。特に植田は足元のつなぎを重視する指揮官に認めてもらおうと思うなら、継続的にピッチに立ち、課題のビルドアップ能力を向上させる必要があるだろう。

 東京五輪世代の2人は、森保監督が兼任監督という点を考えるとかなりチャンスがある。すでに冨安がA代表に定着していることを考えれば、欧州での活躍は彼と同じ流れに乗れることを意味する。そこは本人たちも十分理解しているはずだ。

 彼らに続く海外挑戦組が出てくることも、今後を考えるとプラスだ。三浦に対しては槙野智章(浦和)も「チャンスがあれば海外へ行け」とアドバイスしたというから、彼自身もその気になっているかもしれない。昌子がパリサンジェルマンのムバッペや、モナコのラダメル・ファルカオ、リヨンのムサ・デンベレといったフランスリーグ得点ランキング上位に名を連ねるアタッカーと対峙し、挫折と前進を繰り返しているように、そういう厳しい環境に身を置くことは成長の早道だ。

 吉田もイングランドに行ってから飛躍的な進歩を遂げている。そういうクラスのセンターバックが何人も出てきて、指揮官が試合や状況に応じて選手を使い分けできるようになれば、日本代表の戦い方の幅も広がってくる。

 吉田、昌子、冨安という三枚看板の牙城を脅かす人材は出てくるのか。そして吉田らもさらなる高みに駆け上がるのか。彼らの所属クラブでの一挙手一投足が楽しみだ。(文・元川悦子)