いよいよ2020年度から現行の「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」に変わる。一連の大学入試改革は、入試の多様化や大学付属校の人気上昇など、中学入試にも影響を及ぼしている。今年の注目校はどこだったのか。発売中の「カンペキ中学受験2020」(朝日新聞出版)から、速報でお届けする。

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 今年は1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の小学6年生が約1万人増え、中学受験生数も2200人増えて4万7200人になった。2015年から5年連続の増加だ(グラフ参照)。受験率も16.04%にアップした。首都圏中学模試センター教務情報部長の北一成さんは、次のように分析する。

「受験生の増加は、大学入試改革の影響が大きいです。新たに始まる大学入学共通テストに記述式試験が加わり、さらに民間の英語試験が導入されます。私学なら柔軟に対応してくれる、という親の期待の表れでしょう」

 受験生数が増えたことで、例年よりも厳しい入試状況になった。安田教育研究所代表の安田理さんが話す。

「受験生が最も増加したのが、偏差値50前後のボリュームゾーンです。そのため中堅校の多くが難化しました。また、最近は受験を2月3日までに早く終わらせる傾向が強まっていたのですが、今年は4日以降も入試を受け続ける受験生が目立ちました」

 今年は知名度の高い難関ブランド校と、改革を行って新しい教育に取り組む新進校が人気を二分した。難関男子は麻布、駒場東邦、武蔵、栄光学園など、難関女子は女子学院、雙葉、フェリス女学院、横浜雙葉などが志願者を増やした。開成と桜蔭は前年並み。一方、近年人気急上昇の広尾学園、三田国際学園、開智日本橋学園などは、志願者が3000人を超えた。

「インターネット環境が充実し、SNSの広がりから情報公開が進み、保護者も学校のことをよく調べるようになりました。学校選びが成熟してきています」(北さん)

 大学付属校の人気も継続している。変わる大学入試を避け、確実に併設大へ進学できる付属校に安心感が高まっているからだ。さらに、大学付属校は施設や設備が整備され、受験勉強にとらわれないアカデミックな教育が受けられることも保護者に支持されている。一方で、昨年までの人気の勢いに陰りが見え始めたと安田さんが話す。

「昨年はほとんどの難関大付属校で志願者が増えましたが、今年は人気にばらつきが見られます。女子は付属校志向が継続していますが、男子は高人気が続いて難化した学校もあり、増加の勢いが少し鈍ってきたようです」

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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