前半33分には畠中を起点に乾、鎌田とつなぎ、右サイドから宇佐美が惜しいクロスを入れるなど、何度かチャンスメイクに絡めたが、ゴール付近でシュートまで持込たのはセットプレーの流れからしかなかった。彼が継続的に招集されているメンバーであれば、また次のチャンスに結果を出せば問題ないと言うこともできるが、主力に堂安がおり、ベルギーのゲンクで成長中の伊東純也も有力候補のポジションだ。

 本来の左サイドには中島、乾、そして原口がおり、招集外のタレントも多い。今回のパフォーマンスから次の招集が有力になったとは言い難いが、宇佐美の場合はブンデスリーガの1部でプレーしているアドバンテージがある。クラブで明確な結果を出せば当然、再び招集の対象になるだろう。

 今回の復帰で「注目を常に浴びて、いろんな期待を背負いながらプレーできる。またチームに帰ってもまた戻って来られるようにと思わせてくれる場所」という思いを強めた宇佐美のデュッセルドルフでの活躍に期待したい。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の"天才能"」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。