サッカー日本代表の宇佐美貴史 (c)朝日新聞社
サッカー日本代表の宇佐美貴史 (c)朝日新聞社

 森保一監督がコロンビア戦からスタメンを総入れ替えして臨んだボリビア戦。1トップに初招集の鎌田大地が入ったが、2列目は香川真司、乾貴士、宇佐美貴史の“ロシアW杯組”3人が起用された。

 乾はアジア杯でも追加召集されたが、香川と宇佐美はロシアW杯から8カ月ぶりで“森保ジャパン”は初めて。ボランチの橋本拳人とセンターバックの畠中槙之輔が代表デビュー、左サイドバックの安西幸輝が数分間だけピッチに立ったコロンビア戦に続く2試合目といった状況の選手と違い、経験者なりのアピールが求められた試合だ。

 結論から言えば三者三様のパフォーマンスながらアピールとしては不十分だったと言わざるを得ない。

 香川は日本代表では初めてのゲームキャプテンとなったが、フレッシュなメンバーをまとめて全体をオーガナイズすると言う視点では決して悪くなかった。前半72%というボール保持率を記録するほど日本がボールを支配する時間が長くなる中で、幅広くポジションを動いて味方のための時間とスペースを作ろうとしていた。

 ただ、プレーのイメージがボランチの小林祐希と重なりすぎるところがあり、二人が近い距離感で絡むとどうしても一手多くなり、攻撃のエリアも狭くなる。結局ボリビアはボールサイドに人が詰まってくるので、いわゆる“各駅停車”になる時間が増えてしまう。右サイドに流れたところから左前方にサイドチェンジを出すなど、何度か効果的なチャレンジもあったが、もともと1トップタイプではない鎌田の後ろからダイナミックな仕掛けを引き起こすことができなかった。

 コロンビア戦では後半のすでにオープンになった展開の中で南野拓実、中島翔哉、堂安律という動的なタイプの選手にうまく絡み、途中から右サイドに入った乾とも前向きのコンビネーションを生み出せていたが、守備を固める相手をどう崩すかという時に気が回りすぎてしまう傾向があり、タイミングよくポイントに入っていく本来の持ち味も出せなくなってしまう。

 現在でも中島や堂安、あるいは今回は外れている原口元気などダイナミックな選手が左右にいて、彼らと絡みながらアクセントになるプレーはイメージできるが、有無を言わせず香川と周囲に納得させるだけの“日本代表の10番”らしい存在感、結果は出せなかった。引き続き南野とトップ下のポジションを競いながら、どちらかがメインになればどちらかはオプションという起用法になって行きそうだ。

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乾貴士は違いを生み出そうとするも…