森保ジャパンも「三銃士が揃わない時は勝てない」といった状況に陥らないとも限らない。実際、アジアカップでカタールにファイナルで敗れて優勝を逃した時にも「左MFに原口元気ではなく、中島翔哉が入っていたら違っていたかもしれない」といった見解が浮上している。今後、依存が高まれば高まるほど、そういった傾向が強まるだろう。となれば、2列目を争うロシア組の年長者たちは決して気分のいいものではなくなるし、カタールへの意欲を失ってしまう恐れも否定できない。

「そうなったら、東京五輪世代の若いタレントを入れればいい」と言う人もいるかもしれない。確かに三好康児や久保建英といった才能ある人材はいる。彼らを育てていけばバックアップにはなるのかもしれない。とはいえ、2018年ロシアワールドカップでベスト16入りを果たしたチームを見れば、ベテランにはベテランの味があることが分かる。本田や長谷部誠、川島永嗣らのロシア大会に賭ける思いは凄まじいものがあった。その様子を間近で見ていた昌子源はベルギーに敗れた時、「先輩たちに高い景色を見せてあげられなかった」と号泣したほど、「おっさんジャパン」と揶揄されたベテラン勢の勝利への渇望と闘争心に若い世代は心を打たれたところがあった。

 代表の重みと歴史を知る先輩たちがいてこそ、三銃士もより高い領域に到達できる。だからこそ、ロシア組の香川や乾、原口らには現状に甘んじていてほしくない。2列目競争がより熾烈になって、「誰が出ても、どこからでも点が取れる攻撃陣」というのが確立されていけば、森保ジャパンはもう一段階上のレベルに飛躍できる。ザックジャパンの二の舞を回避するためにも、中島・南野・堂安だけに偏らないチーム作りを目指してほしいものである。(文・元川悦子)