ボリビア戦でも結果を出して存在感を示した中島翔哉 (c)朝日新聞社
ボリビア戦でも結果を出して存在感を示した中島翔哉 (c)朝日新聞社

「基本的には総替えで戦うつもりでいます」

 森保一監督が前日会見で明言した通り、26日のボリビア戦(神戸)のスタメンは、22日のコロンビア戦(横浜)から11人全員が入れ替わるという大胆なものになった。守備陣や中盤はキャップ数5以下の選手が大半を占め、2列目に2018年ロシアワールドカップ組の香川真司、乾貴士、宇佐美貴史という経験豊富なメンバーが並んだ。が、最前線はやはり今回新顔の鎌田大地といういびつな陣容。「難しい試合になるとは思っていた」と香川も険しい表情で語ったが、この日の日本は序盤から予想以上の手堅い守りを見せたボリビアを攻略できず、停滞感が色濃く漂った。

 その様相が変わり始めたのが、後半に中島翔哉と堂安律が入ってから。「自分は持ったらできるだけ速くというスタイルなので、それをやらせてもらいましたし、チームメートもサポートしてくれた」と今や日本代表の看板となった小柄なアタッカーはプレーの意図を口にしたが、推進力が一気に出て、ゴールへの迫力が感じられるようになった。さらに香川と小林祐希が下がり、南野拓実と柴崎岳というアジアカップ主力2人が入ってさらに日本がペースをグッと引き寄せた。中島の股抜き決勝弾が生まれたのはその8分後。もちろんボリビアの運動量がガクッと落ち、スペースが空いてきたのも大きかったが、新2列目トリオの存在感がひと際光る結末となった。

「(新チームの)経験の浅い選手に総じて言えることですが、試合を決定づけるとか、試合の流れを変えるところでは、まだまだ力をつけてほしいと伝えました」と森保監督も決定的な仕事のできる新戦力が現れなかったことに物足りなさを覚えた様子だった。国際Aマッチ31ゴールの香川やロシアで2得点を挙げた乾が決め手を欠いたことは計算外だったのではないだろうか。

 それだけ今の森保ジャパンは「三銃士」への依存度が高いということだ。中島は右足ふくらはぎのケガでアジアカップ参戦を見送ったが、やはり彼が戻った新2列目トリオの迫力と決定力は頭抜けていた。その3人がいてこそ、今の日本攻撃陣が成立していると言っても過言ではない。それは「世代交代」を掲げる指揮官にとってはポジティブなことかもしれないが、2022年カタールワールドカップを3年後に控えるこの段階から序列が定まってしまうのは、今後を考えると決していいとは言えない。

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