さらに6回は1死から広瀬が四球を選んだが、鈴木が三振した際に二盗に失敗し、三振併殺でチェンジ。連続併殺打の記録は途切れたものの、6イニング連続併殺となった。

 初回からこれだけ拙攻を繰り返したら、ワンサイドで負けてもおかしくないところだが、近鉄打線も今関勝、島崎毅、長冨浩志の投手リレーの前に決定打を奪えず、仲良く0対0のまま延長戦へ。

 そして10回、日本ハムは1死から山下和彦、広瀬の連続四球と鈴木の中前安打で満塁のチャンスをつくり、渡辺の中犠飛でサヨナラ勝ち。前出の横浜同様、併殺の山を築きながらの勝利は、まさに「勝ちに不思議の勝ちあり」だった。

 これに対し、近鉄の先発・西村龍次は、6イニング連続併殺も含めて8回途中まで被安打5、無失点の好投にもかかわらず、勝ち投手になれなかったのだから、お気の毒としか言いようがない。吉井理人との交換トレードで近鉄に移籍した同年は、5月2日の西武戦(西武)でも9回2失点で負け投手になるなど、勝ち運に恵まれず、シーズン初勝利は、6月29日のオリックス戦(グリーンスタジアム神戸)までお預けとなった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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