1987年 後楽園球場最終戦 ダブルプレーをさばく西武・辻(右) (c)朝日新聞社
1987年 後楽園球場最終戦 ダブルプレーをさばく西武・辻(右) (c)朝日新聞社

 今年4月で幕を閉じる平成。昨年末には平成のプロ野球ベストナインを選出したが、今回は守備だけに焦点を当てた「平成のゴールデングラブ賞」を選んでみたいと思う。単純な実際のゴールデングラブ賞受賞回数ではなく、どちらかというと印象に強く残る選手を優先して選出した。今回はパ・リーグ編をお届けする。

※所属はパ・リーグの球団在籍当時。

■投手
松坂大輔(西武
次点
豊田清(西武)
涌井秀章(西武・ロッテ

 ピッチングでも平成の怪物と呼ばれた松坂を選出。高校時代からフィールディングの上手さには定評があり、特にバント処理の時の前へ出る速さと送球のスピードは素晴らしく、二塁で封殺するシーンは印象深い。野手としての能力も高かった。

 次点も西武で活躍した投手二人を選出した。豊田は一度もゴールデングラブ賞を受賞していないが、打球に対する反応の良さやグラブさばきは一級品。先発、リリーフどちらでも結果を残し、緊迫した場面でも落ち着いたプレーを見せたところも評価できる。涌井は松坂と同じく横浜高校時代から鍛えられたフィールディングは高レベル。ロッテ移籍後もその上手さは変わらず、現在でもパ・リーグを代表する守備の名手の一人である。

■捕手
城島健司(ダイエー・ソフトバンク
次点
伊東勤(西武)

 城島と伊東とで最後まで悩んだが、盗塁阻止率の高さから城島を選んだ。打てる捕手という印象が強いが、スローイング能力の高さは間違いなく一級品。地肩の強さもさることながら、捕球してから投げるまでの速さもプロ入り後に大きく磨きがかかった。メジャーでも高い盗塁阻止率を残したことがその能力の高さを物語っている。伊東はその安定したキャッチングが最大の武器。派手なプレーはなかったが、後逸することが少なく、守備率の高さは見事という他ない。投手陣の良さを引き出す配球でも光った。

■一塁手
福浦和也(ロッテ)
次点
清原和博(西武)
小笠原道大(日本ハム

 次点を含めて全員が通算2000本安打を達成しているように打撃が目立つ選手が多いファースト。そんな中でこの三人は名手だが、安定感で福浦を選んだ。元々は投手でのプロ入りで若い頃は外野も守っていたが、柔らかいグラブさばきは一級品。難しいショートバウンドも華麗にさばき、速い打球に対する球際の強さも見事だ。

 清原は高校卒1年目からレギュラーを任せられたようにもともと守備能力も高い選手。若い頃は脚力もあり、バント処理で見せるダッシュも光った。小笠原は捕手から転向したが、フットワークの良さは内野手としても光る存在で、晩年でもその巧みさが衰えることはなかった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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