ベルギーから欧州5大リーグへ飛躍する次なる有力候補者はもちろん冨安だ。カタールに敗れて準優勝に終わった2019年アジアカップで全7試合に出場し、キャプテン・吉田麻也をしのぐ活躍ぶりで「MVP級の働き」と賞賛された弱冠20歳の188センチの大型DFには、イングランドやドイツのクラブが熱視線を送っていると言われる。実際、彼のパフォーマンスの安定ぶりは今季ベルギーリーグでも目を引くレベルで、指揮を執るマーク・ブレイズも「スタメンを決める時、一番最初に名前を書くのは冨安」とメディアに語ったことがあったというくらいだから、いかに絶大な信頼を寄せているか分かるはず。若くて才能あるDFが高い値段で買われれば、シントトロイデンには高額な移籍金がもたらされる。そうやって同国の大半のクラブは経営を成り立たせている。彼らにとっても理想的なシナリオだ。

 今回代表入りした鎌田は長谷部のいるフランクフルトからのレンタル移籍組で今夏にはドイツに戻る予定だが、ここまでリーグ12得点という実績があれば、仮にフランクフルトで出番がなかったとしても、他の移籍先が容易に見つかるはずだ。「自分も上のリーグに行くという目標を持って日々戦っている」と鎌田も語気を強めていたが、彼のように他リーグで出場機会を得られなかった選手が復活を期すケースも増えてくるのではないか。日本サッカーのレベルアップ、日本代表強化を考えても、ベルギーの重要性はより高まるはず。今後も同国で戦う面々の動向が大いに気になる。(文・元川悦子)