■遊撃手


宮本慎也(ヤクルト)
次点
川相昌弘(巨人・中日)
石井琢朗(横浜・広島)
井端弘和(中日・巨人)

 最も多くの候補がひしめいたショートだが、安定感でわずかに上回ると判断して宮本を選んだ。もともと守備が評価されてのプロ入りだったが、その期待を裏切ることなく年々安定感をアップさせた。小刻みなフットワーク、打球への入り方、捕球から送球の素早い動きなどは多くの選手のお手本になったはずである。

 川相は平成初期の名手。世界記録を樹立した犠打のイメージが強いが守備での貢献度も大きく、まさに職人的なショートだった。石井、井端も宮本と同時期に切磋琢磨した名ショート。年齢を重ねてもその技術は衰えることなく、晩年は他球団に移籍しながらも、チームの精神的な支柱となった姿も印象深い。

■外野手
飯田哲也(ヤクルト
新庄剛志(阪神
英智(中日
次点
福留孝介(中日・阪神)
青木宣親(ヤクルト)
丸佳浩(広島)

 平成初期の外野守備のスペシャリストとして真っ先に思い浮かぶのは飯田だ。捕手としてのプロ入りだったが、古田の入団と高い運動能力が認められたこともあって外野に転向してその才能が大きく開花。打球まで一直線に向かうスピード、センターから見せる素早い返球で黄金時代のヤクルトを支えた。

 新庄はエンターテイメント的な印象が強いが、守備能力の高さは間違いなく一級品。守備位置を自ら変え、両翼の選手にも頻繁に指示を出すなど野村克也監督に「守備“は”よく考えている」と言われたエピソードも残っている。補殺の多さも見事だった。

 そして完全な外野守備のスペシャリストと言えるのが英智だ。規定打席に到達したことは一度もないが、落合博満監督が就任した2004年に守備、代走のスペシャリストとして一軍に定着し、数々の好プレーを見せてゴールデングラブ賞を受賞した。特にそのスローイングの迫力は圧倒的で、チームの危機を何度も救った。

 福留はショートから外野に転向して開花した代表例。英智、アレックスと組んだ外野守備はまさに鉄壁だった。青木、丸の二人は前後の守備範囲の広さが目立つセンター。ともに強肩も兼ね備え、まだまだリーグを代表する外野手として君臨している。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら