子どもの才能を伸ばすには、どんな勉強をさせようか、何を習わせようかなどと考える前に、子どもが育つ土台の場所、つまり家庭環境を整える必要があるのです。

 プラスして、子どもが通っている学校や塾の先生の悪口を言わないことも大切なポイント。親が悪く言うような場所に通わされている子どもの気持ちを考えればわかりますね。また、大好きな親が、先生や指導者をバカにすれば、子どもは必ずマネします。

 もし、学校や塾などで問題があった場合は、大人同士で対処し、子どもを巻き込まない。これが鉄則です。

 子どもを伸ばす第二のポイントは、親が子どものゴールをきちんと見据えることです。その場合、親の価値観の根っこを、「一日も早い自立」に置いておくと、迷いが少なくなります。

 たとえ、東大に合格したとしても、それはあくまで通過点でゴールではありません。子どもが社会の中で自分の居場所を見つけ、自分の力で食べていく、つまり「自立」こそが最も重要なのです。有名大学に入ったとか、金持ちになったとか、何かで活躍したかなどは、おまけみたいなものです。

 しかし、親御さんの中には、わが子を自分と同じ道に進ませようとしたり、自分が叶えられなかった夢を子どもに託したいという思いが強く、「小さいうちから英語と中国語を習わせなくては」「何が何でも、◯◯中学に合格させねば」と、躍起になる人もいます。

 そうした親御さんほど、受験の結果に一喜一憂する傾向があり、子どもの心を傷つけてしまうケースも少なくありません。

 たとえば中学受験では第一志望に入れる割合は全体の一割程度です。

 開成でも、毎年3倍4倍という倍率があり、合格できなかった子どもは、第二志望、第三志望の学校へ入学しています。

「中学受験というのはそういうものなのだ」とわきまえ、志望校に落ちても、これで終わりだという感覚ではなく、「目標に一歩近づいた。上を目指してよく頑張った」と、子どもが自己肯定感を持てるように、親はフォローしなくてはなりません。

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入試の順位と卒業する際の順位に相関性はない?