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定説を打ち破り、『翔んで埼玉』が異例の大ヒットを記録し続ける理由

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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『翔んで埼玉』で主演を務めるGACKT (c)朝日新聞社

『翔んで埼玉』で主演を務めるGACKT (c)朝日新聞社

 2月22日より全国公開された映画『翔んで埼玉』がヒットしている。初週の週末興行ランキングでは1位を獲得。公開2週目でも1週目を上回る観客動員を記録する異例の事態に。3月4日までに興行収入は10億円を突破した。

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 日本の映画界では「コメディはヒットしづらい」という定説がある。アメリカで桁違いのヒットを記録しているようなコメディ映画でも、日本では大コケしてしまうことが珍しくない。邦画でもコメディが作られることは少なく、たとえ作られてもその大半はあまり話題にならない。日本のテレビでは多数の芸人が出ていて、お笑い文化もそれなりにあるはずなのだが、日本人は映画に笑いを求めていないのかもしれない。

 そんな中で、どこからどう見ても王道のコメディ映画である『翔んで埼玉』が当たっているというのは本当に異例のことだ。なぜこれほどの大ヒットを記録しているのだろうか。

 この映画の原作となっているのは魔夜峰央の漫画作品である。未完のままに終わっていた原作の世界観をベースにして、映画では壮大な物語を展開させている。

『翔んで埼玉』の世界では、埼玉県人が東京都民から迫害を受けている。東京都知事の息子である壇ノ浦百美(二階堂ふみ)は、超名門校で生徒会長を務め、埼玉への差別心をむき出しにしていた。そんな彼の前に立ちはだかったのがアメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)。都会人としての気品に満ちていた麗は、実は隠れ埼玉県人だった。麗に心を奪われた百美は、これまでの生き方を改めて彼と共に決死の逃避行を敢行する。

 映画館で実際に見てみると、ヒットの理由が分かった。一言で言えば、コメディ映画としてのクオリティが圧倒的に高かったのである。特定の人種、宗教、出生地などを扱うような「差別ネタ」は、差別問題が身近なアメリカのコメディでは定番ネタの1つだ。だが、笑いの文化と社会問題が切り離されている日本では、どうしても敬遠されがちだ。


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