日程の問題は甲子園大会に限らず、地方大会も同様である。雨で試合が伸びたりすると、地方大会の終盤戦は連戦になることも少なくない。過密日程にならないように春季大会を調整し、夏の地方大会の開幕を早めるなどの措置をとるべきだろう。

 昨年5月には「高校野球200年構想」の5大目標として【普及】・【振興】・【けが予防】・【育成】・【基盤作り】とその目標に紐づく24の事業が発表された。【けが予防】については、けが予防講習会の開催をはじめ、高校生対象の肩肘検診の実施、小中高生対象の継続的な肩肘検診の実施、けがの予防やセルフチェックのための手引書、DVDを製作したほか、野球手帳の製作といった事業が記されている。どのようにこの事業を実施していくかはまだまだ議論が必要だが、このような取り組みが明文化されたことは大きな進歩と言えるだろう。

 特に重要と思われるのが「継続的な取り組み」である。現在野球界では一つの統一した組織がなく、カテゴリーを上がるごとに引き継がれる情報も極めて少ない。どんな経歴があり、どんな成長過程を経ていたかを、運営側や指導者がまずしっかりと把握できるための体制づくりが必要ではないだろうか。発表された内容が絵に描いたに終わることなく、幅広い年代に広がりを見せていくことが重要だろう。

 最後に球数制限の具体的な方法についても言及しておきたい。故障を防ぐために何かしらの制限を設けることには賛成だが、「100球」というような一律の決め方には違和感が残る。投手によって個人差があり、150球投げても平気な投手もいれば、80球でも異常が出る投手もいるだろう。そんな個人差がある中で決まった数字にすることは得策とは思えない。故障を防ぎながら選手の納得感を得るためには、投手の健康状況を毎回チェックし、筋肉、骨、靭帯などに何らかの異常が見られた時点かその前に登板をストップさせることが最善ではないだろうか。現在の医療技術では難しいかもしれないが、ベンチ裏に備え付けられるような機器の開発を野球界全体で取り組んでみてはどうだろう。

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多角的な方面からの改善案が必要