■変態紳士も加わり平成最後のバラエティー界を席巻

 まさに全方位的に強いこのタレント性が、一茂大ブレイクの秘訣。深夜枠のレギュラー番組「ザワつく! 一茂良純時々ちさ子の会」(テレビ朝日系)も好評のため4月からのゴールデン枠昇格が決まっている。

「同じくお坊ちゃんで2世タレントでもある石原良純さん(57)とはもはや相方のような相性の良さですが、そこにさらに育ちのいいバイオリニストの高嶋ちさ子さん(50)が絡むと、もう無敵の状態。三者三様、身勝手な持論を貫き通そうとする掛け合いが非常にウケています。芸人がメインのバラエティー番組が多いなか、かなり異質で上品な仕上がりになっているため、即座にゴールデンへの昇格が決まったということでしょうね。ちなみに、高嶋さんは最近“変態紳士”としてブレイク中の高嶋政宏(53)さんと親戚関係。つまり、古き良き昭和の芸能界から生まれた優秀な遺伝子たちが、いま、平成最後のバラエティー枠で一番新しい番組をつくっているということ。実際、『ザワつく!~』は人気芸人がこぞって出まくる『金曜ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)を押しのけ、4月から同枠でオンエアされることが決まっています。ハングリー精神むき出しの芸人に食傷気味だった視聴者が、育ちのいい50代タレントに魅了されるのも頷けます」(前出のプロデューサー)

 そんな長嶋一茂に取材経験のあるTVウォッチャーの中村裕一氏は、彼の魅力を次のように語る。

「昨年、週刊誌の取材で話をうかがった際、『嫌いな2世タレント』という、ものすごく直球で失礼な内容だったにもかかわらず、快くコメントしてくれたのがとても印象的でした。本人的には『親の七光』『2世タレント』と世間から呼ばれることをもはやまったく気にしておらず、自己を徹底的に客観視したタレントとしての自覚と信念を強く感じました。それと同時に、常人ではなかなか持ち合わせていないであろうおおらかさも凄い。ポーズでもなんでもなく、細かいことは心底気にしないというスタンスが共演者や現場スタッフには受け、視聴者にも人間的な魅力として伝わっているのではないでしょうか。これは、彼がパニック障害を患ってから、レギュラー番組を休んでまで足繁く通っているハワイが影響しているようにも思います。ハワイの雄大な自然や景色が、一茂さんが本来持っていた上品さやおおらかさをさらに強固なものにしたのではないかと。50歳を超えてから大ブレイクというのも、市井の病める中年世代に明日への活力を与えているのではないかと思いますね」

 まさに一茂に死角なし。唯一無二の存在感と常人離れしたライフスタイルに裏付けられた彼のブレイクは、今後もしばらく続きそうだ。(ライター・藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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