今どき「古典的美人」の土村芳を勝手に贔屓する所以 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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今どき「古典的美人」の土村芳を勝手に贔屓する所以

連載「あの人ってば。」

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矢部万紀子dot.
土村芳 (c)朝日新聞社

土村芳 (c)朝日新聞社

矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

 柚木という地方在住アラサー女子を演じているが、アラサーのくせに髪の毛を頭頂部に近いところで2カ所結び、そこにピンクと黄色のポンポンを結んでいる。ピンクのもっさりした上着の下から、あったかそうな白いフワフワのパーカーのフードを出している。

 ダサいがギリギリ可愛くなるのが、土村さんの美人ゆえ。でも優等生度はグッと抑えめ、どころかおバカキャラ。

 アラサーなのに、自分で自分のことを「柚木はー」と言う。高校の同級生2人と一緒に暮らし、スナックに勤めている。顔に傷のある、すごく年上の彼氏がいる。「柚木の彼はー、前科はあるけどヤクザじゃないよ」と同居する2人に説明する。

 ヒロインみずほ(石橋菜津美)の内省的な感じも良いのだが、「ゾンみつ」を支えているのは、確かに柚木に寄るところが大きい。「コンプライアンスって知ってる?」と尋ねられ、「おめでとう?」とゆっくり答える。みずほが「コングラチュレーション」とボソッと訂正する。コンプライアンスばやりの世の中だが、まるで関係なく生きている柚木がまぶしい。

 他にも「あんたにはデリカシーはないの?」と聞かれ、「柚木、何にも運ばないよ」と反応し、ここでもみずほが「デリバリー」とボソッと訂正する。「人生のどん底」と言いたいらしい場面では、「ズンドコ」と言う。明るいぞ、柚木。

 ことほどさように柚木はお勉強できないキャラなのだが、ゾンビが街中にウヨウヨしているという修羅場で、生命力というか実力というか、そういうものを発揮する。彼女の本音発言はまるで忖度なしだから、それで皆が冷静になるし、ゾンビだらけの街を安全に移動する方法をひらめく。その「乗り物」で勤務先のスナックに行く。さすがアラサー、責任感ある。

 しみじみと、勉強ができることと賢さは違うなーとわかる人物造形。受験勉強に取り組むみずほの妹に、「柚木ももっとお勉強してたら、男に騙されなかったんじゃないかなーって思うよ」などと語って、素直でいい子。でも、朝ドラや「この世界の片隅に」での優等生とはまるで違う。土村さん、「朝ドラ感」を完全に払拭したと思う。


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