米朝首脳会談控え韓国と深まる亀裂 田中均元外務審議官が苦言「日本だけ取り残される」

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田中均・元外務審議官(撮影/西岡千史)
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田中均・元外務審議官(撮影/西岡千史)

 元徴用工らへの賠償を求めた韓国大法院(最高裁)判決、海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射などで悪化を続ける日韓関係。2月に入ってからは、韓国国会の文喜相議長が旧日本軍の従軍慰安婦問題について、「(天皇陛下が慰安婦に)本当に申し訳なかったと言えば、(問題は)すっかり解消されるだろう」などと発言。両国の亀裂はさらに深まっている。いまや日韓で相手国を批判する報道があふれ、関係改善の糸口は見えてこない。

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 だが、地政学的に韓国は、北朝鮮とその背後にいる中国やロシアと対峙する地域にある。日本の安全保障にとって、韓国との信頼関係は必要不可欠で、外交に通じた専門家であれば、誰もがそのことを理解しているはずだ。

 それでも、このまま日韓関係は破綻の道に進むのか。または、修復に向かう可能性はあるのか。2002年に初の日朝首脳会談を実現し、拉致被害者救出への交渉を担った元外務審議官の田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長に話を聞いた。

* * *

──現在の日韓関係について、どう考えていますか。

 出口が見つからず悪化の一途をたどっていると思います。日韓双方が、「日韓関係は重要である」という基本に思いをいたしていない。両国ともに、個々の問題を巡り相手を非難しているだけで、全体のこと、つまり日韓両国の中長期的な国益を踏まえた対応をしているようには見えません。
 
 たとえば、日本と韓国は、経済的には補完関係の側面も強い。韓国は、サムスン電子や現代自動車のように輸出やグローバル化で稼いでいる。日本の商社は韓国企業の海外展開を助け、銀行は金融面で韓国企業を支えています。日韓双方とも、中国、米国に続いて第3位の貿易相手国で、Win-Winの関係が築きやすい。

 貿易相手国としては日韓ともに中国の影響力が高まっています。しかし、2017年に韓国が米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD、サード)を配備したとき、中国が強く反発して韓中関係は一気に冷え込みました。中国と付き合っていくことは、並大抵のことではありません。これは日本も同じです。だからこそ、日韓がスクラムを組むことは、中国との関係を考えるうえでも重要になるのです。

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